26話 ページ27
＜ 一星 充 side. ＞
「はぁあｯ…!」
「ｯ…!」
Aの技が決まり､ 次は俺が円堂に練習を見てもらう番となった｡
"最初"は"普通"に､ ボールを円堂に向けて蹴る｡
それを円堂は確りとボールを受け取った｡
「良いシュートだったぞ､ 一星!!」
「ありがとうございます!
見ましたか､ A先輩!!」
俺は笑顔を貼り付けて､ Aに向けて手を振ってみた｡
するとAは俺に気がついて､ 微笑んで手を振り返してくれた｡
ほんと……可愛い奴。
「見てたわ、上手いわね!!」
「わあっ、ありがとうございます!」
Aの言葉を聞けば、俺は嬉しそうに にぱっと笑みを浮かべた。
「よし…次、行きます!」
「おう! ドンと来いだ!!」
それから俺はボールを打つ度に少しずつ蹴る強さを変えて、円堂に向けてボールを蹴った。
それを先程と同じようにしっかりとキャッチする。
「んっ…良いぞ、どんどんシュートが鋭くなってるじゃないか!」
「最後、絶対に決めます!!」
俺はそう述べると、"特殊"なボールを足元に置いた。
「…鬼道先輩?」
「紅月か」
そっとベンチを見るといつの間にか鬼道が俺たちの様子を見に来たようだ。
まあいい…これで円堂は"最期"だ。
「ありったけの力をぶつけてみろ!!」
「はい!」
俺は勢いよく足を振り上げて、ボールを蹴る。
その瞬間、ボールから針が出て、そのままはボールは円堂へと向かった。
円堂は気づかないままボールを受け止めようとする。
「っ! 避けろ円堂!!」
円堂が受け止める前に鬼道は叫び、言葉通り円堂は避けて、ボールはネットを破り壁へ突き刺さる。
チッ……邪魔しやがって。
「な、なんだ…?」
「大丈夫か、円堂!」
「ゴールネットが…」
鬼道とAが慌てて円堂の元へ駆け寄る。
俺は"何も知らないフリ"をして、壁に突き刺さったボールを手に取る。
「ひ…酷い…!
誰がこんなイタズラを…!」
俺はボールから突き出た針を円堂たちに見せるように持つ。
すると鬼道が俺に掴み掛かってきて、思わず手にしたボールを落としてしまう。
「イタズラだと!? 巫山戯るなっ…!
明らかに円堂を狙ってやっただろ! 一星!!」
「な、何言ってるんですか!
僕は何も…信じてください! 円堂さん、A先輩!」
俺がそう述べれば、円堂とAは俺と鬼道を離れさせる。
そのまま俺は心配そうに見てくるAにしがみつくように､ ぎゅうっとAに抱きついた。
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作者名：りはる x他1人 | 作成日時：2020年3月20日 16時
