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補助監督の人が結界を壊すために使っていたナイフを借り、自分も壊す事ができないかと振り下ろしてみる。
伏黒「…?!」
ナイフは、結界なんて無いかのように空を切った。
伏黒「……伊地知さん。これ本当に葵夜の結界なんですよね」
伊地知「?はい………………ヒョアッ」
すり抜ける右手。
それどころか青い結界は伏黒を飲み込む勢いで広がり、伊地知を含む補助監督達を押し退けた。
鉄臭い鮮血の匂いで結界内は満たされ、伏黒が足を動かす度に波紋を広げる。
追いやられた補助監督一行は、バンバンと結界を叩き伏黒の安否を心配した。
伊地知「ふっ、ふし、伏黒くん?!大丈夫ですか?!?!」
「七竃が危害を加えようとしている!!早急に応援を呼べ!!」
伏黒「皆さん落ち着いてください。結界内は非常に安定しています。」
逆に何故結界に入れただけで危害にカウントされるのか理由を聞きたい。外の人間の情緒の方がよっぽど不安定だ。
鮮血に染まる地面を見つめ、増え続ける血液を止めようと胸部を押さえてみる。
伏黒「(クソ、どっから湧いてんだこれ)」
生物学的にも有り得ない現象に目を疑いながらも止血を続けていると、コツりと固いものが当たった。
───つまり、その盾の正体が結界って事だな?
自分の発言を思い返す。
伏黒「(この結界を形作っているのが翡翠なら…)」
急いで首に手を回しネックレスのホックを取る。勢いよく外せば、2人を囲む結界が霧のように消えていった。
伏黒「!」
伊地知「伏黒くん!!」
慌てた様子で伊地知さんが走ってくる。
各所に電話する補助監督を無視し、いつの間にか血が止まった葵夜を抱き上げた。
伏黒「…帰りましょう。」
後日、自分の怪我の治療が終わった後に聞いた。
葵夜の状態は極めて異常。大凡の人間ではなし得ない生存の仕方をしているらしい。
意識は戻らない。
数日後、準備が終わり次第再び御三家へ移送される事が決まった。
伏黒「高専に置いとく事はできないんですか。」
五条「上層部との規約では悠仁が指を集め終えるまで…すなわち悠仁が死ぬまでの間だけだったからね。それに葵夜は今回宿儺の暴走を止められなかった。さすがに僕も反論ができなかったよ。」
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作者名:佐藤ななな | 作成日時:2021年9月14日 13時