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2人を廃ビルに送ってから5分が経過し、五条に抱きかかえられた葵夜が眠りに着いて3分が経過した頃。
五条が実地試験を行う理由を話し終わった後に、もう人目など諦めた伏黒が彼の腕の葵夜を眺めながら聞いた。
伏黒「…宿儺の指…もそうですけど、今回何故あの高校に葵夜がいたと思いますか」
指名手配中の彼女が5年も逃げる事ができた理由。
それは彼女の呪力の残穢がどこを見ようと見つけられなかった事と、彼女自身、何か目的がある訳でもなく放浪していたため居場所の予想ができなかったことにあるだろう。
呪力の残穢は、追跡が可能な程に濃く残るのが普通である。
それを残さない技術があるのであれば、彼女の実力は相当なはず。
その彼女が何故あんな普通すぎる高校にいたのだろう。
人目のつかない山奥などに隠れれば、更に発見は遅れただろうに。
伏黒「…生活能力やライフラインが整っていないにしても、呪術師に捕まるよりかは良いはずでは?」
五条「………御三家の外にはあまり知られてないけど、葵夜はこの1000年間ずっと囚われていたんだ。」
伏黒「!」
五条「宿儺の死後、捕らえられた七竃は封印も徐伐もできないからやむ無く御三家に引き取られた。100年ごとにローテーションでね。」
五条家に保管されている文献の通りなら彼女は、
一度も敷地内から出ることは叶わず、家を移動する時は拘束され棺に押し込められる。
非呪術師の人間にはお目にかかれたことすらない。
嫌悪、畏怖、忌避、奇異の目に晒され、屋敷の中に居場所などあろうはずがない。
そんな息苦しい鳥籠の中で1000年も生かされた葵夜が、性懲りも無くまた人間と関わろうと足を運ぶ。
五条「知りたかったんじゃないかな。自分と同じ年齢の子が、この時代ではどのように過ごしているのか」
伏黒には理解ができなかった。
伏黒「(…嫌いになるだろ、普通……)」
葵夜が本当に代々言われ継がれてきた“特級呪詛師七竃”と言われるに値する性格なら尚更。
呪術師には如何なる生い立ちでもあらゆる責苦を味合わせ、自分が今まで受けた苦しみを与えたいと思うはず。
伏黒「………葵夜って、本当に“特級呪詛師”なんですか?」
五条「……どうだろうね。この肩書きを付けたのは1000年前の御仁だから。」
五条が見上げる廃ビルの上階には、片腕を失った毛むくじゃらの呪霊が逃亡を測っていた。
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佐藤ななな(プロフ) - [アイク・ブルームーン]アイおっとりさん» ありがとうございます!!待ってくれてるって知ったら更新頑張れちゃいます!! (2021年8月26日 7時) (レス) id: e714be63a8 (このIDを非表示/違反報告)
[アイク・ブルームーン]アイおっとり(プロフ) - 面白いです!更新待ってます! (2021年8月25日 23時) (レス) id: 466201e21a (このIDを非表示/違反報告)
佐藤ななな(プロフ) - りんごさん» ありがとうございます…!!読者さん読んで超良かったって言って貰えるなんて幸せすぎるよー!!応援ありがとうございます!頑張ります!! (2021年8月22日 17時) (レス) id: e714be63a8 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - 面白いです!応援しています!読んで超良かったと思いました!これからも頑張ってください! (2021年8月22日 17時) (レス) id: 15d4b06566 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:佐藤ななな | 作成日時:2021年8月18日 21時