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「お疲れ様でした…!」
やっと息苦しい現場から抜け出し、眩しい日を浴びる。
もうお昼か。
漫画を描くことはやっぱり好きだから、時間を忘れられる。
でもやっぱり、自分の作品を作りたい。
自分の時間を、自分のもののために使いたい。
日に日にその思いは強くなる。
クーラーで芯まで冷やされた身体を真夏の太陽が溶かしていく。
家に帰るまでの道のりはあまりに気怠い。
だけど、ふと思い出す平野くんの顔。
人生を器用に楽しんでいそうな、彼の姿。
初めての気持ちが生まれた。
自分から連絡をしてみようって。
【仕事、今終わりました。】
平野くんになら、知ってもらってもいい気がする。
というか、平野くんになら言える。
何がそうさせてるのかは分からないけれど、自然と体が動く。
暫くすると、平野くんから返信が返ってくる。
【迎えに行きます、今どこですか?】
「へっ、」
思っても観なかった返事に、声が漏れてしまう。
返信に戸惑っていたら、着信画面に切り替わって。
私は慌てて電話に出た。
「はっ、はい!」
『お仕事お疲れ様です!今いるところの住所送ってください!』
「えっ、いやでも、」
『じゃあ、待ってます!』
「ちょっ!?」
唐突に切れてしまった電話。
平野くんは私に考える余裕をくれない。
でも、悪い気がしない。
むしろ、なおさら胸が躍り始める。
この先、何が待ってるんだろうって。
疲れなんて吹っ飛んでしまいそうなくらい。
私きっと、今。
胸が高鳴ってる。
.
「お待たせしました、」
「ほ、ホントに来るんですね…」
「あははっ、来るよ!言ったじゃないですか!」
いつも通りの爽やかさで、サングラスを身に着けて。
黒光りする何ともお高そうな車と共に、私の目の前に現れた。
いや、何回でも思ってしまう。
本当に少女漫画からやってきたんじゃないかって。
「はいはい、乗って乗ってー!」
「し、失礼します…!」
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*咲七波*(プロフ) - Anzu1134さん» コメントありがとうございます!ゆっくりではありますが引き続き読んでくださると嬉しいです!笑 (2019年10月19日 6時) (レス) id: 3d58baab0f (このIDを非表示/違反報告)
Anzu1134(プロフ) - 更新とても楽しみにしています! 頑張ってください! なるべく早めに更新してくれるとありがたいです。 (2019年9月30日 1時) (レス) id: 68bfd8b6e0 (このIDを非表示/違反報告)
*咲七波*(プロフ) - あちゅぴさん» コメントありがとうございます!これからも読んでくださると嬉しいです〜! (2019年9月14日 11時) (レス) id: 3d58baab0f (このIDを非表示/違反報告)
あちゅぴ(プロフ) - このお話とても面白いです!!続きも楽しみにしていますね! (2019年9月13日 18時) (レス) id: 9024cefd53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:*咲七波* | 作成日時:2019年8月23日 10時