伍。 ページ5
–
中也と共に水を嗜んでいた郁葉は、鷗外の声を聞いた刹那、即座に体躯の向きを変換させ、鷗外を見据える。
そうして、小さな、否、凛とした声で応えたのだった。
「僕に用……って事だよね?森さんからの声掛けが有ると云う事は。」
郁葉の問いに鷗外はひとつ、頷き。視線を傍にいた、幼女───エリスへと向け。
優美な表情を讃えながら「ああ、そうだよ。」と云った。
鷗外はエリスを見据えながら、郁葉へと頼みたい事。を唱え始めた。
「郁葉君に頼みたい事は、エリスちゃんを洋服屋に連れて行って欲しい。と云う事なのだけれどねえ…」
が、唱えた刹那。抗議の声が
「ねえ…ハルユキ。あたし、お菓子屋さんに行きたいわ」とエリスが甘ったるい声で郁葉にだけ、聞こえる様に、囁く。
「…森さん、エリス嬢が御菓子屋さんに行きたいみたい何だけれど……」
エリスの願いを聞いた郁葉は森へと、直談判しようと口を開け、流々と語彙を紡いだ。
「……郁葉君が付いていれば大丈夫だとは思うれど、念の為、何か遭ったら直ぐ連絡しなさい。……佳いね?」
鷗外は郁葉の真摯なる態度とエリスの『行かせないと嫌いになるわよ』の
鷗外の頷いた姿を視認した郁葉は少し、気まずそうに視線を落としながら、再び問う。
「……その、久君も一緒に御菓子さんの旅へ連れて行っても構わないかな…?」
「……勿論。郁葉君のしたい様にしなさい。」
と鷗外は、我が子を見守る親のように微笑みつつ、郁葉とエリスが会議室から出て行く姿を紅葉と共に見送るのであった。
–
16人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
月華 - 七海ちゃん、ごめんね。こちらにメッセージします。事情により、明後日まで来れません。明後日になったら必ず来るので、待っててください。 (2021年1月18日 13時) (レス) id: cbd5fcf97e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:晴幸 | 作成日時:2020年9月17日 11時