場違いな少女 1 ページ4
・
四月中に五回、五月に四回通って、六月になる頃には光の店はすっかり有名になっていた。
もちろんそれは光の作る料理が旨いからで、俺のせいじゃ無い。
だけどきっかけを作れた事に俺は満足していた。
「よ。相変わらず忙しそうだな。」
「藪、いらっしゃい。」
どんなに混んでてもカウンターの隅っこだけは予約席。
俺のための席だと言わない光と言われなくても勝手に座る俺は、たぶん似た者同士の照れ屋なんだろう。
「なんにする?」
「酒とつまみ。適当に。」
いつも同じ注文なのにいつも違うつまみが出てくる。
だけどどれも旨いんだよな、これが。
「さて、と…」
ぐるりと店内を見回して見ると、今夜は女性客が少なめだ。
珍しいな…と思ってると奥の席で女が立ち上がった。
「あの…藪宏太さん…ですよね…」
俯いてる女の耳は真っ赤になってて、明らかにここに来た目的は俺だろう。
それはいいとして…
「そうだけど…キミ、高校生ぐらいじゃない?こんなとこ来て大丈夫?」
光の店はレストランで、昼間は健全そのもの。
だが夜の営業のメインは酒で、ダイニングバー的雰囲気になる。
席に残ってるのも同じ年代に見えるし、だとすればこれはマズイと言わざるを得ない。
「は、はい。場違いなのはわかってるんですけど、どうしても藪さんにお会いしたくて…」
「……俺に?」
「ずっとファンで…ここが藪さんのお気に入りのお店って聞いて、もしかしたらって。」
「それは有難いけど…でもなぁ…」
「両親の許可は貰ってます。お会いできたのでご挨拶が済んだらすぐに帰ります。」
「………うん。」
それならいいか、と思った。
言葉遣いも礼儀正しいし身なりも若い子らしく可愛らしいけどよく見れば安っぽく無い。
両親の許可を得てる、って言葉からも育ちの良さは伺えた。
・
209人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
らな(プロフ) - さくらもちさん» コメントありがとうございます(*´▽`*)笑ってもらえて嬉しいです!次からもポンポンとテンポ良く楽しんでもらえるよーに頑張りますんで、続きもよろしくお願いします! (2020年7月18日 22時) (レス) id: b35b5df26e (このIDを非表示/違反報告)
さくらもち(プロフ) - 読みました(^^)伊野尾さん、1人で来ず、薮さんが気の毒…でもついつい笑ってしまいました(笑)一筋縄にはいきませんね…。薮さん、誘えるでしょうか…お話し楽しみにしています(^-^) (2020年7月11日 14時) (レス) id: 29c1b2b83b (このIDを非表示/違反報告)
らな(プロフ) - musicmans5962さん» そーですねぇ。言わないと気付いてもらえなそーです。がんばれやぶぅ(笑)読み返しありがとうございます。次回、やぶぅ言えんのかい!?の巻き、楽しみにしててください。 (2020年7月9日 12時) (レス) id: b35b5df26e (このIDを非表示/違反報告)
musicmans5962(プロフ) - 藪さん、2人で、出掛けようなんて、言うの、確かに恥ずかしいし。照れますよね!でも頑張ってください!きっと言わないといのちゃんには伝わらない笑笑でも、本当この両片思い堪らないです!もう。このお話し大好きで、実は何回も読み返してます(^^) (2020年7月8日 16時) (レス) id: 65437c10de (このIDを非表示/違反報告)
らな(プロフ) - いいですよねー!両片思い!も、大好き!まだ当面これ続くと思いますんで、じっくり楽しんでください。よろしくお願いします。 (2020年7月8日 15時) (レス) id: b35b5df26e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:らな | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/isut/ano/
作成日時:2020年6月25日 20時