snow white〜第５章〜(inoo kei)

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「あのね。俺が結婚したら
ずっとここに住むんだよね？」


「う、うん。」


「そしたらもう、とおさまやかあさまや
知念には会えないの？」


「え？」





姫は生まれてこのかた
滅多なことで城の外に出たことがありません

特別な事情で知念と暮らしましたが
それでもやっぱり頭には
“住んでるとこからあんまり離れちゃダメ”
と言う思考が染み付いてます


ひかるのことは優しいから好きだけど
とおさまたちに会えなくなるなら
結婚はしたくないなぁ…





「そっ、そんなことはないよ。
遠くに住んでるから毎日会うのは無理だけど
会いたくなったら連れてってあげるよ。」


「ほんとう？」


「約束するよ。
知念のとこは馬に乗れば１日で着くし
いのちゃんの国にだって…」


「わぁ…」





パァっと顔を輝かせた姫を見て
王子も嬉しくなりました


いのちゃんは家族に会いたくて
会えなくなるかも…って不安だったんだ

こんなに喜んでくれるなら
早めに段取りして
知念のとこに連れてってあげよう


あ、でもその前に…





「それであの…
いのちゃんは、俺と結婚して…幸せ？」





今さらです

婚礼の儀を済ませた上に
結婚式までしちゃったのに
それを取り消すなんてできっこないんです

でもそれでも
もしいのちゃんがいやなんだったら
お国に帰してあげなくちゃ…






「んー、とね。
幸せかどーか、わかんない。」





ガーン！

でっかいハンマーで殴られたように
王子の頭は衝撃でクラクラしました

けど姫は
そんな王子に笑いかけながら
自分の気持ちを伝えます





「幸せってね、あとからわかるよ。
あのときうれしかったなー、とか
あのとき楽しかったなーとか。」


「………はい？」


「ひかるは違うの？
いまうれしいことだけうれしい？」


「えっと…？」




言われて考えてみると
確かにそうかもしれません

その瞬間瞬間の“嬉しい”の重なりが
“幸せ”なのかも…




「ひかるといると楽しいよ。
結婚したらずっと一緒だから
これからも楽しいといいな、って思う。」


「あ…うん…」


「だからずっと“楽しい”が続くよーに
仲良くしよーね、ひかる。」


「………うんっ。」






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