JUMP短編集〜十人十色の恋レシピ ６〜

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　慧にぃのモノマネにすっかり骨抜きにされてついでに魂も抜けたあたしが茫然としてると、それを見て驚いたのかなんなのか、真ん丸なおめめが見つめてくる。




「おーい、A？どしたー？」

「どっ、どーもしやしないもんですさー！」

「は？本気で大丈夫か？」

「大丈夫ってなにが？いや伊野尾くんごめんなさい真面目に勉強します！」

「………言ったのは俺なんだけど？」




　そんなことはわかっとるわい！

　でもそっくり過ぎて、もう脳内はウハウハ状態なんじゃい！





「ハッ！慧にぃ！今のもう一回やって！」

「はぁ？なんで？」

「録画するからに決まってるでしょ！」

「………お前、ばか？似てても他人だぞ？」

「いやっ！今のは奇跡的に伊野尾くんだった！お願いだからワンモア！」





　必死におねだりしたんだけど、慧にぃは“絶対やだ”と応じてくれなかった。

　そして話しはなんとなく別の方面に流れて行き、あたしは塾の時間を迎えてしまった。





「ほーれ、とにかくしっかり学んで来い。受験生。」

「うう…さっきみたいに伊野尾くんっぽく言ってよぉ…」

「やなこった。」

「なんでよー！言ってよー！」




　再チャレンジでねだってみたけど、やっぱり願いはかなわなかった。


　慧にぃのいじわる…






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