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消えた花火はあたしのもので、山田くんが持ってるのは最後の花火。
「俺が大人になるのを待ってて欲しい…と、思ってました…」
呟きのあと、山田くんの線香花火も微かに揺れてポトンと落ちる。
「でも思い出したんです……俺が好きになったのは、花火の時の子供みたいに笑ってはしゃぐAさんだった…って…」
消えた花火を地面に落として、山田くんの指があたしの指にそっと重なった。
「好きなんだ。」
告げられた言葉が信じられなくて、何も言えない。
「いつか必ず追い付いて、あなたにふさわしい男になります。」
指先が絡み合う。
男の子だと知っていたのに、予想外の強い力に驚いた。
「俺のものに…なってくれませんか…?」
夢、なのかもしれない。
夏まだ遠い六月の夜。
花火が見せた幻なのかもしれない。
それでも…
「あたし…で、いいの…?」
「Aがいい。Aじゃなきゃいらない。」
幻でもいい。
そう思って頷いたあたしを抱きしめた彼の腕が痛い。
「夢…みたいだけど…」
「夢じゃ…ないです……夢じゃ困る…」
恥ずかしそうに目を伏せた彼を追って、あたしも目を閉じた。
「好きだ…A…」
吐息のすぐ後に重なった唇の温度と今夜の花火を…
あたしはずっと、忘れられないと思う。
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おしまい
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マリナ(プロフ) - ぶっきらぼうでも不器用でも実は彼女の事大好きな薮くんの感じがもう最高で鼻血出ます!リアルに想像できるらなさんの天才すぎる物語が大好きです! (2019年10月25日 4時) (レス) id: bbedea094b (このIDを非表示/違反報告)
Nayu(プロフ) - 初らなさんがsnow whiteな私です。ここ数日で色々ならなさんのお話にどっぷりハマってます。個人的にはMyDiamondの高木さんが尊い…です。 (2019年10月14日 1時) (レス) id: dde7df5103 (このIDを非表示/違反報告)
なお(プロフ) - らなさんのお話久しぶりに読んでとてもキュンキュンしました!! (2019年10月14日 0時) (レス) id: 2fc616a0db (このIDを非表示/違反報告)
らな(プロフ) - shootingstarhapさん» ありがとうございます。今回は伊野尾くんにそっくりないとこ、ってことで、普段ならしない言葉を使ったりする慧にぃを書けて楽しかったです。また次も楽しんでもらえるといいな、です。 (2019年10月14日 0時) (レス) id: b35b5df26e (このIDを非表示/違反報告)
shootingstarhap(プロフ) - 読みました!凄く良かったです(^^)この2人のその後の話しも是非読みたいと思いました(^-^)特にベッドドンの所がキュンとしました(^^)また楽しみにお話し待っています(^-^) (2019年10月13日 15時) (レス) id: 29c1b2b83b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らな | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/isut/ano/
作成日時:2019年6月18日 19時