Puppy Boo〜kouta.Y〜

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彼女の指が
優雅にカップを持ち上げるのを見ながら
俺はタイミングを計る


半年に渡り
『結婚を前提に』お付き合いしてきたのに
それを断るってんだから
よっぽど言葉を選ばないと…





「ところで…」


「あのっ！」





カップがテーブルに置かれた瞬間を狙ったが
俺の声は彼女の声に負けてしまう





「…どうしました？」





いつも穏やかに話す彼女にしては
珍しい大きな声

顔つきも真剣そのもので
必死感が漂っている


ここは譲るしかないだろう






「ごっ…ご相談したいことがあるんです…」





大声を張り上げたことが恥ずかしいのか
うつむいてカップを見つめてる彼女





「藪さんは父の信頼も厚くて…
だから、きっとあなたの言葉なら…」





はて、なんだろう

信頼は有り難いが
別れを決めた以上、あまり深く関わるのは…





悩みながらも
だからと言って切り捨てることなどできない



一度は伴侶として
共に生涯を歩んで行こうと決めた女性だ

恋愛感情はそこになくとも
慈しみの気持ちは確かにあった



俺にできることなら
助けてやりたい








「遠慮なく言ってください。
自分に出来ることなら、何でもしますよ。」


「あのっ…そのっ…」






俺は小娘を選んだ

だから彼女を幸せにしてやれない



ならばせめて
俺にできることを、最後にひとつくらいは…







「あたしっ…赤ちゃんができたんです！」


「なっ…なにぃ！？」







ちょっとまてぇ！！
なんっじゃそりゃ！！


おりゃそんなヘマするほど
ガキじゃねーぞ！？







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