ある日突然信頼度が見えるようになった

めげないしょげない諦めない何があっても泣いちゃダメ18 ページ18

何十､いや何百とある写真を1枚1枚めくっていく｡
ダメだ｡全部私だわ｡

落ち着かなきゃ〜
落ち着かなきゃ〜
はわわわわわわ…

私はどこぞの掃除要員おばあちゃんよろしく部屋の中をぐるぐると腰を少しかがめて歩き回ったあと部屋の外に出ては入って出ては入ってを繰り返した｡

いやもうほんと無理｡落ち着くとかやってられんわ｡
誰だよこんなに大量に写真撮っては印刷して撮っては印刷してを繰り返したのは｡

恐らく14回目ぐらい部屋の出入りを繰り返した時､少し遠くから声が聞こえているのに気がついた｡

私はピタリと足を止めて声に耳を済ませると､聞こえてきたのは間違いなく､真依さん､三輪ちゃん､そして加茂さんの声だった｡

どうやら真剣な話をしているようだ｡それもそのはず｡何故なら真依さんが今全力で説得に当たってくれているからである｡

そのはずなのだが…

やけに真依さんが嬉しそうに話しているように聞こえる｡それも何か企んでいる時の声音だ｡
一体何を話しているのだろうか｡

しかしちょうどいい｡私は今超パニック中なので別の事に意識を向けて心を落ち着けるという手もあるだろう｡
案外私は耳が良い｡それこそよく地獄耳だとか言われるほどには｡

意識の全てを会話にさせる｡今なら風の音､虫の音なんて簡単に聞こえるぜ！

『それには賛成ですけど加茂先輩は大丈夫ですか？』

『正直私の精神的には随分しんどい｡』

『何言ってるの憲紀｡あんたが引き受けないならAはアイツと同じ部屋で過ごすのよ？』

『そうですよ！他の男に取られていいんですか!?加茂先輩はそれでいいんですか!?』

『良くない』

ふぅ…
あの〜､もしかして真依さん私を加茂さんの部屋に泊まらせるおつもりで？確かにあなたは私の予想通り部屋交渉してくれてました｡でもね真依さん｡あなたの部屋に泊めてくれるんちゃうの？三輪ちゃん｡あなたも何押してんの？君の部屋にも泊めてくれんの？
私が頭にクエスチョンマークのバーゲンセールを繰り広げている間にもまだ会話は止まらない｡

『良くないなら泊めるべきよ｡憲紀あんた男見せなさい』

『真依の言う通りです加茂先輩｡大丈夫私達が着いてます｡サポートは任せてください！』

『…わかった｡任せる』

何この美しい茶番

『ほら､早く行きなさい｡Aあんたの部屋で待たせてるから｡』

『えっ』

加茂さんが聞いたことも無いような間抜けな声を出した直後､廊下の向こうから明らかに走っている足音が聞こえてきた｡

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