未完成

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中三の春。

俺の幼馴染の優太が、引っ越すことになった。




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廉「…親の転勤で、って理由で転校とかなんか漫画みたいやな」


優「いやおい！漫画みたいやなじゃなくてもっと寂しがれよ！」

廉「顔に出てないだけで寂しがっとるわ」




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寂しがってる、これは嘘じゃなかった。

小学校の頃から家が近所でずっと仲が良かった優太が転校するのは寂しいと思っていた。




…けど、心のどこかで、少しだけホッとしたような、嬉しいような、複雑な気持ちもあった。




だって






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優「…A、そんな泣くなよ」

優「転校するってったってそんな一生会えなくなるわけじゃないんだしさ！夏休みとかは戻ってくるから！！」


『…優太くん…っ、』





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俺の隣で泣きじゃくる彼女と、優太が離れるから。





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幼馴染3人でずっと仲良くて、俺は物心ついた時からAが好きやったけど

Aはずっと優太が好きで、優太もAが好きで。



優太が俺に気を使って、2人が付き合うことはなかったけど、明らかに歳を重ねるにつれて2人の距離は俺の知らんとこで縮まっとった。






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優「…じゃあな！夏休みは戻ってくっからな！」

廉「気ぃつけてあっちでもがんばれよ！」

『…優太くん、またね！っ、』





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彼女と優太が離れて、これから彼女の1番傍にいれるのは自分。


その事実が嬉しいと思えてしまう俺は、この時からもう既に歪んでいたのかもしれない。





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