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桃
「いかないで、」
雑踏に消えていく僕の声は、彼の耳に届いていたのだろうか。
車も、じいちゃんの畑も、おかんのタンスも、みんな売りに出した。
それでも生活は厳しくて、少ないけれど生活保護を受けている。
流星と分かれて1年目、残っていた唯一の家族が死んだ。
流星がいれば慰めてくれたかな、とか、流星がいれば美味しいご飯が食べられたかな、とか、考えるのは彼ばかり。
流星、おかんに言われてんて。俺みたいな貧乏人と付き合うなって。
流星やったら、無理言ってでもおかんの制止を振り切ってこっちにきてくれると思ってた。
やけどそう思ってたんは、俺だけやったみたい。
最近、何すればええか分からなくなることが多い。
いつの間にか夜道に出て、たまに車に轢かれそうになって、たまに、交番で保護されている。
いつの間にかいたコンビニで、見つけてしまったんだ。
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作者名：みんときん | 作成日時：2022年11月29日 9時
