訪問者 ページ36
何事かと廊下へ顔を出すと、ちょうど柱の時透無一郎が前を横切った。
彼は一目散にAのいる部屋の前へと向かう。
引き止めようと後を追うアオイ達には目もくれない。
「竈門A、入るよ?」
彼は形状声を掛けたのみで、中から返答が来る前に
扉のノブへと手を掛けて捻った。
中にいた看護の少女はぎょっとした様子で、慌ててAの胸元を隠す。
「あぁごめん。着替えてたの?君は席を外してくれる?彼女と2人で話があるんだ」
時透は全く動じた様子を見せず淡々とした声色でそう発した。とにかく衣類を整えるから外へ出ていてくれと言われた時透は仕方なく廊下へ戻る。
「あれ、炭治郎じゃない。もう動けるようになったんだ。良かったね。」
炭治郎に気付くや否やそう言う時透に対して、彼は無遠慮に怒りの篭った眼差しを向ける。
「A姉さんは今し方目が覚めたばかりなんです。そんなに急いで話さなければいけない内容何ですか?
いくら柱とは言え、そんな無礼はあんまりだと思います。」
彼が柱だと知った善逸はひっと悲鳴を上げて遠くのドアの影に身を隠す。
時透は無気力な表情のまま、尚も睨んでくる炭治郎を見つめ返した。
「これは彼女の為の話でもあるんだよ。
柱の殆どはね、Aを本部に縛りつけたがっている。そんなの、鬼殺隊じゃないよね?ただの箱入り娘だよ。ただ俺は、彼女の覚悟が見たいんだ」
そろりと中から世話役の少女が出てきて、時透を中へ招く。
「炭治郎は帰っていいよ。僕と彼女で話す事だから」
それでも納得いかない様子で炭治郎はその場を動かない。
「炭治郎、大丈夫だから。彼と2人で話すよ。少しだけ、外で待っててくれる?」
優しくそう彼女がさとすと、テコでも動かなかった炭治郎が渋々ではあるが引いた。
改めて、彼にとってAの影響力は物凄いのだなと善逸は実感する。
それにしても...
あの炭治郎が夢中になる女性がどういう人なのかずっと気になっていたわけだけど。
なるほど、少なくとも見た目で言えば、
これは惚れるわけだなぁと思う。
禰豆子ちゃんは可憐な女の子という印象だけれど、
彼女は俗に言う聖女のような儚げで美しい女性だった。
そして発せられてくる音も、心地が良い...
何だろう。
美しい自然の中に身を置いているような、そんな心地良さ。
時透がドアを締め切ると、
居ても立っても居られず、炭治郎と共に聞き耳を立てる事にした。
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八千代(プロフ) - Sun moonさん» ありがとうございます(*´-`)むいくんは天使 (2020年11月24日 20時) (レス) id: 23228d6fd7 (このIDを非表示/違反報告)
Sun moon - むいくんが可愛い(真顔) (2020年11月24日 17時) (レス) id: 73a4d7a977 (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - ゆずポンさん» 1話から見直してくださってるなんて...有難いです(;ω;)ありがとうございます!キャラの気持ちの変化だったり意識して書いてみてるので、何か違った発見がゆずポンさんの中であったらいいなぁと思います。 (2020年9月6日 15時) (レス) id: 769605b6ca (このIDを非表示/違反報告)
ゆずポン - 八千代さん» そうですか!今1話から読み直してます。何回見ても面白ですね! (2020年9月6日 15時) (レス) id: 6633b9c75f (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - ゆずポンさん» コメントありがとうございます。すみません、炎炎ノ消防隊はアニメ1、2話見た程度で全然詳しく無くて(泣)日本神話の神様なので結構色んな作品に使われてるようですね! (2020年9月6日 14時) (レス) id: 557e2177e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:八千代 | 作成日時:2020年2月4日 13時