隠し通さねばならぬ想い ページ35
炭治郎から今まで聞いた事もない音を聞いて、
善逸はどうしたものかと言葉に詰まる。
一体何があったのだろうか。確か彼は、姉のAさんの様子を見に行ったと言っていたけれど
「Aさんと何かあったの?」
ストレートにも善逸はこう聞いてしまった。
そして後悔した。
みるみるうちに炭治郎の音が大きくなっていったからだ。
善逸は、顔こそ見た事はないが
炭治郎から彼女の話は聞いていた。
幼い頃から共に暮らしてきた家族で、
実はAさんは巫一族という、特別な血を継いだ家系の末裔なのだと言うこと。
だから、敢えて聞かなかったけれど
薄々竈門家とは血が繋がっていないのだろうなぁと思ってたし、実のところそんな女の子と一つ屋根の下に住んでいたなんて、くっそ羨ましいな炭治郎この野郎と思ってたけど。
確かに、炭治郎がAさんの事を話す時は、凄く心地よい優しい音がしていた。
ただ、家族なんだという思いが強いように思ったから、【そういう】対象に想っていたとは思わなかったんだ。
「とりあえず落ち着こう炭治郎。悪いけど...
俺、音でわかっちゃうからさ。伊之助や他の人には誰にも言わないよ。何となくだけど、あまり公にするつもりないんだろ?」
「善逸...。ありがとう。」
ようやく少し落ち着いた炭治郎は、
善逸の言葉を聞いて力無く項垂れた。
「俺、寝ているA姉さんに..」
「...まさか、触ろうとしたのか?それはさすがに」
顔を赤くしてそうじゃない、いや違わな..いや、と口ごもり慌てて否定する炭治郎。
直接的に言わないからよくわからないけれど
「..なるほど、
彼の言う事をなんとか要約するとそういうことになる。
羞恥で縮こまり泣きそうになってる彼を見ると、なんと初心で歯痒いのだろうと思うけど、善逸からすれば彼の様子はごくごく当たり前なんじゃないかと思う。
「好きな女の子なら当たり前だろ?
お前何もおかしくないよ。仕方ないって..」
そう炭治郎を励ましたつもりだったが、これじゃ駄目なんだと首を横に振る。
彼女は、炭治郎の事を家族と思っている。
だからこの想いは、隠し通さなければいけないのだと。こんな事で今、彼女を惑わすわけにはいかないのだと言う。
いや....でもそれって
炭治郎、お前はかなり酷だよなぁ
「ちょっ..時透様!!困ります。まだ彼女は目覚めたばかりで」
そんな慌ただしい声が聞こえてきた。
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八千代(プロフ) - Sun moonさん» ありがとうございます(*´-`)むいくんは天使 (2020年11月24日 20時) (レス) id: 23228d6fd7 (このIDを非表示/違反報告)
Sun moon - むいくんが可愛い(真顔) (2020年11月24日 17時) (レス) id: 73a4d7a977 (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - ゆずポンさん» 1話から見直してくださってるなんて...有難いです(;ω;)ありがとうございます!キャラの気持ちの変化だったり意識して書いてみてるので、何か違った発見がゆずポンさんの中であったらいいなぁと思います。 (2020年9月6日 15時) (レス) id: 769605b6ca (このIDを非表示/違反報告)
ゆずポン - 八千代さん» そうですか!今1話から読み直してます。何回見ても面白ですね! (2020年9月6日 15時) (レス) id: 6633b9c75f (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - ゆずポンさん» コメントありがとうございます。すみません、炎炎ノ消防隊はアニメ1、2話見た程度で全然詳しく無くて(泣)日本神話の神様なので結構色んな作品に使われてるようですね! (2020年9月6日 14時) (レス) id: 557e2177e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:八千代 | 作成日時:2020年2月4日 13時