甘い ページ34
「炭治郎..」
「ッ!!....」
鼻先と鼻先が掠めそうな距離まで近付いた時。
微かに彼女の声が聞こえ炭治郎は咄嗟に顔を仰け反らせた。
トロンとした焦点の合わない眼差しで炭治郎を見上げるAは、ゆっくりと首を回して辺りを見回す。
「ここは..?」
「ぁっ..俺、人を呼んでくるよ」
ガタリと椅子が倒れたのも気にも止めずに、
炭治郎は逃げるように部屋を後にした。
とにかく、この場に居続ける事が出来なかった。
彼女は、いつから目覚めていたんだ?
どこから聞いてた?見ていた?
俺は
ーA姉さんに何をしようとしていたー
アオイ達のいる部屋へと
突然の出来事に、看護の少女達数人が一斉に扉の方へ目を向けた。
「どうされました?A様の部屋に行っていたのですよね?ひょっとして急変でも」
アオイがみるみる険しい顔つきになり、ただ事ではないのではと救急箱をかき集めて炭治郎に駆け寄る。
「違いますっ!彼女が目覚めたので、知らせようと思いまして」
そう言う炭治郎を見て、アオイは彼の様子が少しおかしい事に気付いた。
「あの、顔が真っ赤ですけど、また調子をおかしくしましたか?絶対安静と言いましたのにまさか隠れて鍛錬でも
「やってません!大丈夫ですから本当に..A姉さんをお願いします」
彼女は訝しげに炭治郎を見るも、アオイは側にいた数人の少女を連れて部屋を出て行った。
バタバタと足音が遠のいていくのを聞いて、炭治郎は1人残された部屋の中でずるずると腰を落とした。
まだ、心臓がバクバクと音を立てて鳴り止まない。
顔が熱い。
呼吸を整えようと必死に深呼吸をしたが、効果はあまりないように思えた。
最悪だ...
あの時、とても言い訳出来るような状況ではないところまで行ってしまったような気がする。
炭治郎自身も無意識な状態だった。
もし彼女に、炭治郎がしようとしてた事がバレてしまっていたらと思うと
「おーい炭治郎?凄い音が聞こえたけど、何かあって」
徐々に手足も伸びてきて、自力で歩行が出来るようになった善逸がひょいと扉から顔を出す。
そして善逸は、炭治郎から聞こえてくる音を聴くや否や、驚きに目を瞬かせた。
「え...お前、どうしたの。」
「っ.....」
炭治郎は咄嗟に顔を背ける様な素振りをみせるが、善逸には何の意味もない事だった。
彼からは、信じられない程に
甘く動揺したような音が響いてきたのだ
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八千代(プロフ) - Sun moonさん» ありがとうございます(*´-`)むいくんは天使 (2020年11月24日 20時) (レス) id: 23228d6fd7 (このIDを非表示/違反報告)
Sun moon - むいくんが可愛い(真顔) (2020年11月24日 17時) (レス) id: 73a4d7a977 (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - ゆずポンさん» 1話から見直してくださってるなんて...有難いです(;ω;)ありがとうございます!キャラの気持ちの変化だったり意識して書いてみてるので、何か違った発見がゆずポンさんの中であったらいいなぁと思います。 (2020年9月6日 15時) (レス) id: 769605b6ca (このIDを非表示/違反報告)
ゆずポン - 八千代さん» そうですか!今1話から読み直してます。何回見ても面白ですね! (2020年9月6日 15時) (レス) id: 6633b9c75f (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - ゆずポンさん» コメントありがとうございます。すみません、炎炎ノ消防隊はアニメ1、2話見た程度で全然詳しく無くて(泣)日本神話の神様なので結構色んな作品に使われてるようですね! (2020年9月6日 14時) (レス) id: 557e2177e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:八千代 | 作成日時:2020年2月4日 13時