巫一族の継承 ページ3
無事本部から許可を得たAは、師範の元へと向かった。
彼女は相変わらず優しい笑みを浮かべてよく戻ったわねとAを出迎える。
「師範、戻るのが遅くなり申し訳ありませんでした。」
Aが深く土下座をすると、構わないと言って中へと招き入れた。
「ここに来たと言うことは。星の呼吸の最大の特徴と、巫一族の異能を知ったのですね?」
やはり師範は鋭いお人だ。
Aは単刀直入にこう告げた。
「はい。星の呼吸の、壱ノ型と拾ノ型に、何か秘められた力があるのではと思い、それを教わりに来ました。」
そう聞くと、彼女は意外な返しをした。
「では、呼吸の名称と役割だけを教えましょうか。」
「え..それだけですか?」
何とも拍子抜けであった。てっきり、習得に物凄く労力がいるもので厳しい鍛錬が再び待ち受けているのだと思っていたが。
師範はAの元へ近づくや否や右腕を捻り上げた。
思わず痛みに顔を歪ませる。
彼女は辛そうに眉根を寄せる。
「...A、本当はあなたを鬼殺隊に入れる事は反対でした。あなたの力は特別なのです。出来る事なら次代に継承していって欲しい。けれど、鬼殺隊に入ると言う事は即ち死と隣り合わせという事。ましてや鬼舞辻に追われる身など..戦いの前線にあなたを送りたくはないのが本音です。だから、敢えて壱ノ型と拾ノ型の存在を教えませんでした。」
「何故、その2つの型を知る事が、前線に行く事になるのですか?」
そう尋ねると彼女は、奥から古びた巻物を取り出してきた。褪せた紙がボロボロと崩れる程年季の入ったもので、辛うじて炭で書かれた文字が見える程度のもの。Aはそれを受け取り中身を読み解くと、星の呼吸の型の名称が壱から拾まで記されていた。
ー壱ノ型 森羅万象(しんらばんしょう)ー
ー拾ノ型 天照(あまてらす)ー
この2つの型が、巫一族と深い関係があるというのか。
森羅万象は、この世のありとあらゆる万物の力を最大限に引き出す能力。
天照は、全ての万物を焼き尽くす太陽の息吹である事を師範は語った。
これらを習得出来れば、更に強さを手に入れられる。
炭治郎達のサポートが出来る。
そしてこれはきっと私にしかなし得ない。
「この型を伝授してはくださらないのですか?」
そう問いかけると、彼女は首を横に振りこう答えた。
「私には教えられません。私には..
この2つの型を習得できなかったのです。」
262人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
八千代(プロフ) - Sun moonさん» ありがとうございます(*´-`)むいくんは天使 (2020年11月24日 20時) (レス) id: 23228d6fd7 (このIDを非表示/違反報告)
Sun moon - むいくんが可愛い(真顔) (2020年11月24日 17時) (レス) id: 73a4d7a977 (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - ゆずポンさん» 1話から見直してくださってるなんて...有難いです(;ω;)ありがとうございます!キャラの気持ちの変化だったり意識して書いてみてるので、何か違った発見がゆずポンさんの中であったらいいなぁと思います。 (2020年9月6日 15時) (レス) id: 769605b6ca (このIDを非表示/違反報告)
ゆずポン - 八千代さん» そうですか!今1話から読み直してます。何回見ても面白ですね! (2020年9月6日 15時) (レス) id: 6633b9c75f (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - ゆずポンさん» コメントありがとうございます。すみません、炎炎ノ消防隊はアニメ1、2話見た程度で全然詳しく無くて(泣)日本神話の神様なので結構色んな作品に使われてるようですね! (2020年9月6日 14時) (レス) id: 557e2177e8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:八千代 | 作成日時:2020年2月4日 13時