◆第陸章 不完全なる呼吸の先へ ページ2
珠世と愈史郎は鬼舞辻に近づき過ぎたので、追撃を逃れる為に早急にこの地を去るのだと言った。
炭治郎達も、まだ傷は完治していないものの移動は止むを得ず、彼等と別れを告げることにした。
鬼の血については何か分かり次第連絡をくれるという。
「炭治郎、私は一度本部に文を出して、しばらくの間師範の元に置かせて貰えるか頼んでみる。星の呼吸について確かめておきたい事もあるんだ。」
「そうか、わかった。俺達は南南東に行くから、また何かあったら文を飛ばしてくれ。A姉さん..」
あぁ、この子は本当にわかりやすい顔をする。
隣の禰豆子にまで雰囲気が伝染してしまってるじゃないかと、炭治郎を軽く小突いた。
「こら、そんな顔しないの。私は私なりにやってみるよ、またいつか会いましょう。それまで身体にだけは気をつけて、それにしても傷もまだ完治してないのに次の任務だなんて、炭治郎の烏は四角四面なのかな?」
そう首を傾げるとまるで人の言葉が伝わっているかのように烏が騒ぎ始めた。炭治郎はいつもの事で慣れ切ってるようだけれど..
全く、無茶をして欲しくないのは、こちらの台詞だと言うのに。
鬼殺辻無惨が追っている対象は、何もAだけではない。いや、むしろ今回の一件で言えば、炭治郎や珠世の方が危険である事が判明した。
やはり2年前のあの日も、耳飾りの男、つまりは炭治郎を無惨は殺しにかかってきていたのだ。
炭治郎...あの夜、あなたはあの場にいなくて
本当に良かった
「姉さん、鬼殺隊を辞めてくれだなんて言って、ごめんな。あの時俺、A姉さんの思いを考える余裕がなかった。」
申し訳なさそうに眉を下げる炭治郎を見て、そんな事を気にしてたのかと首を大きく横に振った。
「いいの。心配してくれてるんだよね?素直に嬉しいよ。それじゃ、禰豆子の事お願いね?炭治郎だから安心して任せられるよ」
Aはそう言って彼等と別れを告げると、
鎹烏を本部に向けて解き放った。
なんだかんだで師範に会いに行くのは、最終選別以来初めてになってしまった。
実のところを言うと、最終選別の日は土壇場で型を完成させて藤襲山に向かったのだが、彼女から教わったその星の呼吸の型は弐ノ型から玖ノ型のみ。
つまりは、
【壱ノ型と拾ノ型】をAは教わっていなかった。
それが、お館様に言われた星の呼吸と巫一族の異能に関係があるのなら、
前に進む為にも、私は明らかにしなきゃいけないんだ。
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八千代(プロフ) - Sun moonさん» ありがとうございます(*´-`)むいくんは天使 (2020年11月24日 20時) (レス) id: 23228d6fd7 (このIDを非表示/違反報告)
Sun moon - むいくんが可愛い(真顔) (2020年11月24日 17時) (レス) id: 73a4d7a977 (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - ゆずポンさん» 1話から見直してくださってるなんて...有難いです(;ω;)ありがとうございます!キャラの気持ちの変化だったり意識して書いてみてるので、何か違った発見がゆずポンさんの中であったらいいなぁと思います。 (2020年9月6日 15時) (レス) id: 769605b6ca (このIDを非表示/違反報告)
ゆずポン - 八千代さん» そうですか!今1話から読み直してます。何回見ても面白ですね! (2020年9月6日 15時) (レス) id: 6633b9c75f (このIDを非表示/違反報告)
八千代(プロフ) - ゆずポンさん» コメントありがとうございます。すみません、炎炎ノ消防隊はアニメ1、2話見た程度で全然詳しく無くて(泣)日本神話の神様なので結構色んな作品に使われてるようですね! (2020年9月6日 14時) (レス) id: 557e2177e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:八千代 | 作成日時:2020年2月4日 13時