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家の中に入ると、インターホンで不在の知らせが点滅してた。
あれ?荷物か何か届く予定だったかな?
ポストには不在票は入ってなかったはず。
コンビニ弁当をテーブルの上に置くと、録画画面を確認した。
「……?」
ん?
この格好、どこかで見たような……
帽子を一瞬上げた時に見えた顔。
「えっ!!太輔くんっ…?!」
急いでインターホンを操作してもう一度確認する。
同じ動画。
やっぱりそうだ。太輔くんだ。
カバンから急いでスマホを取り出したら、いつから見てなかったのか。
不在着信と未読のメッセージに気付いた。
“家の前で待ってるね。”
嘘でしょ…!!
どうしよう、
どうしよう、
どうしよう。
家を飛び出した私。
エレベーターのボタンを押したけど待ってる余裕なんてなくて、咄嗟に階段の方へと駆け足で向かった。
普段なら転げ落ちるスピードで階段を一気に駆け下りて、呼吸が出来ないんじゃないかと思うくらいに苦しい胸を押さえて外に飛び出た。
「太輔くんっ!!!!」
さっきの垣根にまだいた。
私の呼びかけにゆっくり顔を上げて、
「Aちゃん…?」
って弱々しい声にホッとしたのが本音。
アイドルが、天下のジャニーズが、何やってんのもう。
近くまで駆け寄って肩に触れると、驚くほど熱くて小刻みに震えてる。
「太輔くん…?!
ちょっと、体熱いよ?」
「ゴホッ…なんか、寒い……」
「寒い?!」
額に手を当てるとものすごい熱で、明らかにグッタリして顔色も悪い。
「とりあえず、うち入って!」
「Aちゃん…、」
「…?!」
太輔くんの体を抱えようとした私の手を掴まれて、苦しそうに肩で呼吸する太輔くんと目が合った。
「ごめん…この間のあれは、」
「……」
「来てくれたのに、俺…、」
必死に言葉を発してる姿が痛々しくて、ずっとずっと連絡を無視し続けた幼稚な私自身に罪悪感が芽生える。
忙しいはずなのに時間を見つけて何度も何度も電話をくれて、体調悪いのに無理して家まで来たりして。
「今はその話はいいから」
私の言葉に手を握る力を強めた太輔くん。
元気になったら、ちゃんと聞くから。向き合うから。
今はとにかく休もう?
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作者名:珠美 | 作成日時:2021年9月15日 12時