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「じゃあ、乾杯!お疲れー!」
「…お疲れ様」
勢いよくビールを流し込む巧見。
「あぁーーうっめー!
ん?どうした?飲まないの?」
「…え?あ、うん。飲むけど」
同じく頼んだビールジョッキを口元に持っていくと、ちびっとだけ口に含んでテーブルに置いた。
「なに?最近のAおかしいぞ」
「そんなことないよ」
「俺の目を誤魔化せるとでも?
お前と何年一緒に居ると思ってんだよ」
「……」
何その言い方。
長年連れ添ってきた夫婦みたい。
「…仕事辞めないよな?」
「辞めないよ。今のところは」
「だよな。良かったー!」
そう言って笑いながら、すでに半分も残ってないビールを一気に飲みきった巧見。
「俺さ、まじで仕事に関してはAのこと尊敬してんだよ」
「ぶっ!!!!」
「うわっ、汚ねぇな!」
私もやっと飲む気になってビールを口に含んだ瞬間、巧見らしくもない私のこと褒めたりなんかしてびっくりした。
「あぁーもう、ほら!」っておしぼりを渡されて、忘れた頃にこうやって優しくされると一瞬だけ心が揺れ動く。
「っ…、ごほっ、なに急に…!」
「まじで、仕事では敵わねぇなって思ってさ」
伏し目がちに呟いて、「すみません、おしぼりください」って手を上げた巧見に感じた違和感。
いつも調子いい事ばかり言って、こっちの気持ちとか感情とかお構いなしにズケズケと踏み込んできてるのに。
急に優しくなるなんて、様子がおかしいのは巧見の方じゃない…?
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作者名:珠美 | 作成日時:2021年9月15日 12時