＊ ページ7
.
仕事が終わってタクシーで直接店に向かう。
桜が有名だという通りにある店の前でタクシーから降りると、タイミングよく桜の花びらがハラハラと風にのって落ちてきた。
意外と人多いな…。
周りは花見の見物客で賑わってる。
幸いにもみんな桜に夢中で、存在を消すようにして俺は店の中へと入った。
「…茜？」
「太ちゃん！お疲れ！
外すごい人だったでしょ？大丈夫だった？」
店のサイトの写真で見てた個室に通されて、先に来てスマホをいじる茜が顔を上げた。
「桜が有名なんだね、ここ」
「実はさ、この部屋にテラスもついてて外でも飲めるの！」
茜が指差す方を振り返ると、全面ガラス張りになってて外にはテラスに置かれたテーブルと椅子がある。
さっき下から見た桜並木が一望できる特等席だ。
「予約とるの大変だったんだから〜」
あまりに恩着せがましく言う茜に俺は首を傾げた。
いや、確かに素晴らしい景色だとは思うけど。
…俺、頼んでなくね？
「とりあえずビールでいい？」
「あ、うん」
テーブルに置いてある注文用のタブレットを手に取った茜を横目に俺も椅子に腰掛ける。
「先に始めちゃっていいよね〜」
「先に？」
「うん、Aも来るよ？」
本当は心のどこかで期待してた。
タクシーを降りるまでは彼女もいるんじゃないかなって少しドキドキしてたけど、満開の桜の華やかさにすっかり気を取られて個室で待つのが茜だったことに違和感すら感じなかった。
「けどちょっとトラブったみたいで残業してから来るって」
「そうなんだ」
改めて彼女が来ると知った俺はおしぼりで手を拭きながら平常心を保つ。
幼馴染の連れというだけで何を緊張してんだろう。
個室の前を通る店員の足音が聞こえるたびに落ち着き無く視線を向けてしまう。
「ふふっ」
「ーー？」
「珍しいね、そんな太ちゃん」
「なにが？」
茜の言いたいことはわかってた。
だけど今はしらをきる。
「Aの可愛さはジャニーズの王子も虜にするんだな〜さすがだわ」
「なんだよ、それ」
「ふふっ、否定はしないんだ？」
あぁ〜この嫌な言い方。
俺の顔を見てニヤついてる茜は完全に俺の心を見抜いてる。
悔しいけど…
イラつくけど…
否定しきれない俺がいる。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 226人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
珠美(プロフ) - 美月さん» 美月さん＊この作品も読んでいただき、ありがとうございます(*^^*)こういう小悪魔女子に憧れて書いてみました！コメントいただけて嬉しいです(^^)これからもよろしくお願いします！ (2021年9月6日 7時) (
レス) id: dad748ef2d (このIDを非表示/違反報告)
美月(プロフ) - 珠美さん、こんばんは(^^)こちらの作品も拝見させていただきました!!藤ヶ谷さんを翻弄してしまう主人公ちゃん、やりますねー（笑）こちらの展開もとっても楽しみです！どの作品も本当に素晴らしい!!方々にコメント失礼いたしました<(_ _)> (2021年9月5日 22時) (レス) id: 0eb5a1c4e3 (このIDを非表示/違反報告)
珠美(プロフ) - ぺこさん» ご指摘ありがとうございます！！！本当ですね…！致命的なミスをしてました(T_T)失礼しました。すぐに訂正いたします！ (2021年8月27日 14時) (レス) id: dad748ef2d (このIDを非表示/違反報告)
ぺこ(プロフ) - 太ちゃんじゃないですか？ (2021年8月27日 13時) (レス) id: 9baa58e5fc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：珠美 | 作成日時：2021年8月26日 9時
