救いの手 ページ7
ドクン、ドクン。
な、何を言われるんだろう……。
私、なんか悪いことしちゃったかな？
澄香「もしかして、俊介のこと好き？」
風花「えっ……！？」
心がグラッと揺れた。
俊ちゃんのことを、私が？
なぜか心臓が言うことを聞かない。
まさか、雲の上のような存在だし好きな訳じゃ…………ないはず。
澄香「昨日、俊介と一緒にかえったでしょ？私、見てたんだから。誤魔化したって無駄だから。やっぱり、好きなんでしょ？」
そ、そんな訳ない…………
はずだけど、私の心は答えてくれない。
澄香「ねぇ、牧野さん。答えてよ。」
風花「す、好きなんかじゃ……ない……？」
なぜか疑問系になっちゃったけど言えた。
でも、心がチクチクする。
この気持ちは何？
苦しい。はやくここから逃げ出したい。
澄香「本当に？じゃあ、一言。あのね、私は俊介が好きなの。だから、俊介とあまりいないで。そして、私の恋を手伝って。いいね？」
えっ…………。
俊ちゃんと一緒に居たらいけないの？
もうあの日の様にザアザア降っている雨の中を二人で帰ることはできないの？
澄香「じゃ、私帰るわ。」
私の返事も聞かずに澄香ちゃんはそそくさと帰っていった。
ぽつんと一人だけ残される。
「風花ー。まだ帰ってなかったのか？」
えっ、だれ！？
パッと瞬間的に振り向くと、そこにはじょうろ片手に不思議そうにこっちを見てる俊ちゃん。
風花「し、俊ちゃん……」
俊介「もう4:30だぞ？」
やばっ！もう澄香ちゃんが帰ってから15分もたってる！？
俊介「風花。どうしてここにいたんだ？」
風花「いやっ、そのー。」
な、何て言おう……。
さすがに本当のことなんて言えないし……。
俊介「ん？」
風花「ち、ちょっとたまには中庭に行ってみたいなーって思っちゃって。気づいたらもうこんな時間だなー。あはははは。」
俊介「そうか。おれは学級委員の仕事で中庭の水やり担当だから来たんだ。」
な、なんとか誤魔化せたのか、な？
それにしても、さっきから地味に続いてるこの心臓の動きはなんだろう……。
なんかドキドキして苦しい。
俊介「待っててくれたら一緒に帰れるけど、一緒に帰る？」
とっさにうんって言いそうになった。
でも、澄香ちゃんとあの約束をしてしまったからには………。
風花「ううん。今日は大丈夫。また明日。」
俊介「そうか。また明日。」
切なそうに笑う彼に心が痛む。
なんでだろう？
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作者名：ありす | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/
作成日時：2019年10月30日 21時
