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そんなほのぼのした気持ちでいると、
『…おい、』
「っ、」
「ミツ先輩?どしたの?」
低い声と共に 伸びてきた腕。
透き通った、青。
いつもの1杯が 目の前に置かれた。
腕まくりをしたみっくんの逞しい腕に、ドキッとしたのも束の間だった。
『…客、来てるけど?』
玉ちゃんに向けてそう言ったみっくんの目は、さっきよりも冷たく感じた。
少し首を回して 入り口を見ると、若くて可愛い女の子が2人いる。
「わわっ、気付かなかった!」
「玉のこと気に入ってる客なんだから、待たせてんじゃねぇよ。」
「また後でね〜Aちゃん ♪」
慌てた様子の玉ちゃんが、くるりと振り返ってと相変わらずの緩い口調で言ってきた。
"あっ、玉ちゃん!"
"先週も来てくれてたよね?"
"覚えててくれたの?"
"名前は忘れちゃったけど (笑)"
"やだ、ひど〜い (笑)"
・・・若い子のテンションってすごい。
お客さんとあんな砕けた会話をするなんて、玉ちゃんだからアリなんだろうな。
『……お前さぁ、』
「っ、…何?」
なんでそんなに不機嫌なのよ。
せっかく玉ちゃんのおかげで落ち着いてたのに、また胸がズキズキと痛む。
『結局、誰でもいいんだろ。』
「…は?」
『玉、可愛いもんなぁ。』
・・・なにそれ。
『でも残念 (笑) あいつ彼女いるから。』
「……。」
『22だぜ?華の大学生。男に振られたくらいで仕事に生きようとか言って、結局また同じような末路に行き着…っ、?!』
ぽた、ぽた・・・、と滴る水滴。
『っ、…にすんだよ、』
「……。」
「ちょっとミツ?なんの音……え、」
「……すみません、帰ります。」
「えっ、Aちゃん?」
カバンから財布を取り出し、震える指で千円札を3枚抜いて席を立つ。
『…んな高くねぇよ、うちの酒は。』
みっくんと目が合う。
「……服、汚してすみません。」
逸らしたのは、私の方だった。
「Aちゃん、どうしたの…」
眉を下げて そう聞いてくる横尾さん。
「あの…もうここには来ません、今までありがとうございました。」
きっと、気付いてる。
・・・恥ずかしい。
ペコリと頭を下げてから、逃げるようにお店を出てきた、哀れで惨めな私。
駅までの道、人目も憚らずに泣いた。
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nanaco(プロフ) - ぴろみんさん» ぴろみんさん、コメントありがとうございます(*ノ∀ノ) ね♪ 焦れったいの最高ですよね〜(*^^*) これからもジレジレしちゃって下さいm(*_ _)m (2020年4月13日 23時) (レス) id: d77fcd2775 (このIDを非表示/違反報告)
ぴろみん(プロフ) - コメント失礼します。両片想いのすれ違い大好きです!(笑)楽しく読ませていただいています^_^ (2020年4月13日 17時) (レス) id: ee206e27b7 (このIDを非表示/違反報告)
nanaco(プロフ) - みちこさん» バーテンみっくん!でもチャラくないの(*ノωノ) また後で更新しに来ます♪ 他メンはあと2人出しますよ( ̄∀ ̄*) (2020年4月11日 19時) (レス) id: d77fcd2775 (このIDを非表示/違反報告)
みちこ(プロフ) - 新作ですかー(^.^)しかもみっくん(//∇//)続きが気になる(^_^)楽しみにしてます(^.^) (2020年4月11日 16時) (レス) id: 95022a0a60 (このIDを非表示/違反報告)
nanaco(プロフ) - もち?太郎さん» あー・・・あれか!でも今は裕太sideだからね、あれは宏光とのやり取りだから(^_^;) (2020年2月8日 6時) (レス) id: d77fcd2775 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:nanaco | 作成日時:2020年1月31日 20時