Torenia Fournieri -1-

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ミツはAの幼馴染だ。




そして･････元彼、でもある。




Aと出会ったのは2年前の春。




今の会社にAとミツの後輩として入った俺が、指導係になったAに惹かれるまでにそう時間はかからなかった。




でも、当時Aはミツと付き合っていて･･･




それでもいいからって、Aのことをずっと想い続けることにした。




「つーか、今だから言えるけどさ？Aが俺以外に惚れるなんて思ってもみなかったわ。」




『……自意識過剰。』




「ふはっ……たしかに、そうだよな。」




『あの時はマジでミツのこと有り得ねぇって思ってたからね。まぁ、今もだけど。』




「おい(笑)」




社交的で程よいチャラさ(あくまでも本人の見解)が、女子からかなり人気で。




ミツは元々女にだらしない性格だから、Aという彼女がいながらフラフラしてたんだよね。




そんなミツに気付いてるくせに、Aは何も言わずにニコニコ笑ってて･･･




残業が終わって終電間際の時間に会社を出たあの日、会社の最寄り駅で1人ポツンと佇むAの姿を見つけた。




"っ、二階堂くん…"




俺の顔を見るなりポロポロと涙を流すその姿に、もう色んな気持ちが吹き飛んじゃって。




"ねぇAさん……俺にしない？"




気付いたら、泣いてるAを抱き締めてた。




『…俺ならAを泣かせないのに、笑顔にするのにって、思ってたんだよ。』




「……つか、それを俺に言うかね？」




苦笑いを浮かべるミツ。




『ふん、いつまでも言い続けてやる。』




あんな過去があったのに、半年足らずでお互いに何も無かったかのように接する2人。




･････正直、俺はまだ納得いってないからね？




それ抜きにしたら文句なしにいい先輩だから、なんだかんだで憎めないだけで。




「てか、それのどこが不満なわけ？」




『え？』




「優しいんだろ？いつも笑ってんだろ？」




『 ……そうだけど、』




「いいじゃんかよそれで。泣かせてないんなら、Aは幸せってことじゃねぇの？」




『……違う。』




「あ？」




『そうじゃなくて…』




それってさ、追いかけたり待ってるばっかの苦しい恋より、追いかけられる幸せな恋がいいって･･･




俺とAの関係は、Aにとってはきっと後者の方なんだと思う。

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