* ページ22
.
だけど、やっぱり私は臆病だった。
彼の表情が不意に真剣なものに変わり、伸びてきた手が頬に触れそうになった瞬間・・・
「っ、」
『…え、』
反射的に避けてしまった。
やだ、こんなことくらいで・・・
自意識過剰だって思われた?
露骨すぎて嫌な思いさせちゃった?
なんて、ネガティブな考えが渦巻く。
「……ごめんなさい、」
『あ、いや……俺もごめん、急に…』
気まずい沈黙に、息苦しくなる。
・・・・・やっぱり、私には無理だ。
合コンから始まる恋もあるだろうけど、直感でこの人だ!って運命を感じる瞬間もあるだろうけど、私には無理なんだと思う。
「……帰ります。」
震える声を絞り出し、健永くんに背を向けようとしたその時だった。
『えっ、……待って!』
グイッと掴まれた腕に、血の気が引いた。
一気に蘇る、おぞましい記憶・・・
高校の時に友達と遊んでて、ナンパされて合コンすることになったあの日。
たまたま店員さんが部屋に入ってきたから良かったものの、あのまま誰にも気付かれなかったら・・・と思うと ゾッとする。
特に何かされたわけではなかったけど、腕を掴まれたり、肩に手を回されたり、必要以上に触られることに過敏になってしまった。
彼も、同じなのではないか・・・
掴まれた腕に残る感覚に、どうしてもそう思ってしまう自分は消せなくて。
気付いたら、酷いことを言っていた。
それはきっと、彼に言いたかったのではなく、あの日私を無理やりにしようとした男達への恨み言のようなものだろう。
だから、完全なる八つ当たりだ。
落ち着いて考えればすぐ分かることだけど、冷静さを欠いた状態だった私は・・・
「残念でした!単純そうに見えた?私はあなたと違って見た目も中身も軽くない…っ、」
"君らさぁ、誘われるがままにノコノコ付いてくるから軽く見られるんじゃねぇの?"
あの日、捨て台詞を吐くように1人の男が私達にそう言ったんだ。
金髪に近い茶髪に、ゴールドのピアス。
健永くんと、少し似ていた気がする。
トラウマとも言えるこの忌々しい記憶。
男性不信・・・なんだと思う。
『……人を見た目で判断するのって最低な奴がすることだと思うよ。』
突然、低い声が耳に響いた。
1026人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
nanaco(プロフ) - 桜子さん» ありがとうございます!藤ヶ谷くん、とっても長くなりましたが無事完結出来ました(^^; 宮田カップル可愛いですよね、書いていてほっこりしました♪ いつになるか分かりませんが、必ず第3弾書かせて頂きます☆ また宜しくお願い致します(*´艸`*) (2020年6月3日 1時) (レス) id: a7b3edb10a (このIDを非表示/違反報告)
桜子(プロフ) - 完結おめでとうございます!7人とも素敵なお話でした。特に私は藤ヶ谷くんのお話が好きです。あと宮田くんのお話も可愛くて楽しかったです!第三弾も楽しみに待ってます(^ ^) (2020年5月31日 23時) (レス) id: ddca34723a (このIDを非表示/違反報告)
nanaco(プロフ) - みやさん» みやさん、初めまして♪ 宮田担の読者様だ (o´艸`) そうですよね、少ないですよね…(;;) 私自身、まえあしとニカちゃんしか単体で作品を作っていないのですが、近いうちに残り3人の短編集もそれぞれ書きたいなぁと思っております(*´ω`*) (2020年5月8日 21時) (レス) id: a7b3edb10a (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - 初めまして、いつも楽しく読ませてもらってます。宮田担ですが、宮田くんのお話し自体少ないので、短編集だとしてもこうやって宮田くんのお話しが見れてとても嬉しいです♪これからも楽しみにしています^_^ (2020年4月28日 13時) (レス) id: 9a996da218 (このIDを非表示/違反報告)
nanaco(プロフ) - milkyyyさん» milkyyyさん、ありがとうございます( *´艸`) そうですね、なかなか難しくて(^^; でも最近、宮田くんを書きたくて仕方ないんです (笑) かなりのんびり更新ですが、宜しくお願い致します♪ (2020年4月27日 2時) (レス) id: d77fcd2775 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:nanaco | 作成日時:2019年12月23日 22時