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「谷本っ!!!」
後ろから追いかけてくる千賀くん。
「千賀くん…」
「これっ…荷物……!!」
ハァハァと肩で息をする千賀くんは、教室から校門まで走って追いかけてきてくれたのだろう。
「あ、ありがとう…。」
「俺も行く…って言いたいところだけど。」
「え?」
「谷本が行ってあげて。玉のそばにいてあげて。」
「…っ、ありがと…千賀くん!」
カバンを受け取り、病院に急いだ。
走って、走って、ひたすら走る。
玉森くん……っ
高校も一緒だって、言ったじゃない。
また一緒に過ごせるって、嬉しかったんだよ?
お願いだから…無事でいて?
お願いだから……
「…はぁっ…はぁっ…ここ…ここだよね?」
先生に貰ったメモに書いてある病院名を確かめて、中に入る。
玉森裕太という名前を告げると、案内されたのは、
…ICU集中治療室だった。
「あ、あの…」
その部屋の前のソファでグッタリとしているのは、多分…玉森くんのご両親。
「…裕太の、お友達かしら?」
「はい、あの、玉森くんと同じクラスの、谷本菜々子と申します。」
「君が谷本さんか。」
玉森くんのお父さんが私を見て微笑む。
「え、と…?」
「ああ、すまないね。裕太がよく君の話をするんだよ。」
家族と仲が良いと以前、玉森くんに聞いた事があった。
私の事、話してくれてたんだ。
「…っ…ぅ…」
ご家族の方がよっぽど辛いのに、私が泣いちゃダメなのに、涙は止まってくれない。
「菜々子さん、裕太と仲良くしてくれてありがとう。あの子ったら、まだ目を覚まさないのよ、困った子よねぇ…。」
哀しそうに玉森くんを見つめる、玉森くんのお母さん。
「私…玉森くんが目を覚ますの 一緒に待っててもいいですか…?」
「もちろんよ。…裕太にこんな素敵なお友達がいるなんて、私たちも嬉しいわ。」
友達…なんだろうか、私と玉森くんは。
私にとって玉森くんは大事な人。
玉森くんにとっての私は…?
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このみ - 大人になった裕太 (2020年10月3日 19時) (レス) id: 25b3f023e7 (このIDを非表示/違反報告)
nanacoy1139(プロフ) - 黄色好きさん» 黄色好きさん、素敵なコメントありがとうございます…(^ ^)続編も考えておりますので、また良ければ是非お越し下さいね。 (2019年1月24日 7時) (レス) id: da866a5801 (このIDを非表示/違反報告)
黄色好き - 伝えたい想いは、何時でも伝えられるわけじゃないって事。それなら、今こそだからすぐにでも伝えたいなって。想いはありますよ。またいい話しでした。青春に戻ってみたい。 (2019年1月24日 1時) (レス) id: f0b607ac31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:nanaco | 作成日時:2019年1月22日 12時