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60 幼魚と逆罰─参─ ページ15

吉野side


真人さんに案内されて広い場所に出た。


吉野「【好きの反対は無関心】なんて初めに言った人はちゃんと地獄に落ちたでしょうか」


真人さんからもらった人のような形のものを弄りながら言う。


吉野「悪意をもって人と関わることが関わらないより正しいなんてあり得ない

【好きの反対は嫌い】です

日本人って好きですよね単純(シンプル)な答えを複雑にして悦に浸るの」


そう言う僕の目には光がなかっただろう。


真人「皆、言葉遊びが好きなのさ

なぜなら、人間は言い訳をしないと生きていけないからね」


そう言って真人さんご見上げる先には僕や真人さんの何倍もある人のようなモノ。


吉野「これは?」


真人「一人の人間をどこまで大きく出来るかの実験

逆にそっちはどこまで小さく出来るかの実験」


吉野「! これが……人間?」


思わず掌のモノを凝視した。


真人「……順平は死体に慣れてるの?」


吉野「……どうでしょう」


真人さんに小さくなった人を渡しながら答える。


吉野「それが僕の母や友人だったら取り乱し、真人さんを憎んでいたかもしれません」


頭に楽しそうに笑うAと母が浮かぶ。

それと同時に学校のクズ男達の姿も浮かんだ。


吉野「でも僕は人間の醜悪さを知っています

だから他人に何も期待していないし、他人の死に何も思う所はありません

【無関心】こそ人間の行き着くべき美徳です」


真人「そんな君が復讐ね」


吉野「矛盾してるって言いたいんですか?」


そう問う僕に真人さんは質問で返してきた。


真人「順平はさ、人に【心】があると思う?」


吉野「え…ないん……ですか?」


真人「ないよ」


アッサリと答える真人さんに唖然とする。

人に心があるなんて当然の事だと思っていたからだ。


真人「【魂】はある。でも、それは【心】じゃない」


吉野「じゃあっ、僕のこの……!!」


憎しみや恨みはなんだっていうんだ……!


真人「俺はこの世界で唯一魂の構造を理解している

それに触れることで生物の形を変えているからね

喜怒哀楽は全て魂の代謝によるものだ。心と呼ぶにはあまりに機械的すぎる

人は目に見えないモノを特別に考え過ぎる

見える俺にとって、魂は肉体と同じで何も特別じゃない

ただそこに在るだけだ」

61→←59 幼魚と逆罰─弐─



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クロ民(プロフ) - こけしさん» ありがとうございます! (2021年10月8日 17時) (レス) id: 803aa7d309 (このIDを非表示/違反報告)
こけし - すごく面白いです!おーえんしてます (2021年10月8日 1時) (レス) id: a0017e625f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:クロ民 | 作者ホームページ:クロ民  
作成日時:2021年5月30日 16時

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