第72話(静弥side) ページ24
･
虚無感にさいなまれながら立ち尽くす僕の
目の前で、Aは嬉しそうに言う。
貴｢やっと言えた…｣
"やっと言えた"ってどういうことなんだ。
その言葉でふと我に返り、意味が分からなくて
何も言えずににいるとAはゆっくり口を
開いた。
貴｢ずっとセイ達に相談したかったんだけど
言い出し辛かった｣
相談、か…。
正直、今までAから恋愛相談をされたと
いう記憶が無い。というか認識が無い。
貴｢誰かに言ったら何か変わちゃいそうで…｣
僕らは、Aが恋愛相談として話す前に
勘づいて、問いただして、関わろうとしていた
あわよくば邪魔さえしてきた。
静｢…ごめんA｣
貴｢いやいや、なんでセイが謝るの｣
Aが愁から告白されたのは分かっていたけど
それを直接Aの口から聞きたくなかった。
貴｢クマー君の飼い主さんが変になっちゃったよ｣
｢ワンっ｣
僕には愁のような余裕も優しさもなくて、圧倒的
に勝ち目がないことを突きつけられるような気が
したから、逃げてた。
静｢それで、どうするの返事は｣
聞きたくない。今すぐここから逃げたい。
でも、これは今までAの恋路を邪魔して
きた自分への罰だ。
貴｢んー…｣
心臓はうるさくて、息を吸うのも苦しくなる。
沈黙が長く、長く感じてしまう。
貴｢もちろん好きだよ、愁くんのこと｣
ズキッ、と痛む心臓に手を当てる。
息を吸えない苦しさよりも、心臓の痛さの方が
辛い。
貴｢でもそれは友達として、だと思う。
好きって種類が多くて分かんないや｣
困ったように笑うAを見て、心臓の痛みが
徐々に消えていった。
あの愁にもAは恋愛感情を持たないのか…？
静｢鈍感通り越してない…？｣
貴｢鈍感じゃないから｣
likeとLove違いか。
僕もAに対する最初の感情はlikeだった、
それから"好き"という気持ちは段々と形を変えて…
静｢ずっと一緒にいたいって思わない？｣
貴｢ずっと？ ずっと…｣
静｢目で追いかけるとか、異性と話している
ところを見るとイライラしたり｣
って、これは僕がよく思うことか。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 994人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あわ(プロフ) - 大好きすぎる…… (6月9日 22時) (
レス) id: a26e70e8e6 (このIDを非表示/違反報告)
紫飛(プロフ) - とても面白いです！いつでもいつでも最新待ってます！これからもがんばってくださいい！ (2023年3月22日 20時) (レス) @page29 id: 69eb7321a2 (このIDを非表示/違反報告)
ポンズ - めちゃくちゃ面白いです！更新再開いつでも待ってますので、ごゆっくり〜 (2023年3月6日 1時) (レス) @page29 id: ce08b4ce76 (このIDを非表示/違反報告)
美姫(プロフ) - とても面白いです！続きがとても気になります！！更新楽しみにまってますね！ (2021年9月18日 20時) (レス) id: ac5aee6225 (このIDを非表示/違反報告)
たばね(プロフ) - 面白いです！！更新再開されるのを待ってます^ ^ (2019年12月17日 21時) (レス) id: fdca24c34d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：月花 | 作成日時：2018年12月24日 10時
