ATYの3女になっちゃいました！？

10 見えなかった傷 ページ10

夕香里side

日香里ちゃんの話は本当に衝撃だった。

私がもし日香里ちゃんの立場にいたら…なんて考えてしまう。


食事が終わり、後片付けをしていると日香里ちゃんがキッチンに入ってきた。


貴「あの…お手伝い、します。」


この一言がなんだか嬉しかった。

夕「ほんとに…！ ありがとう、助かるよ！」


日香里ちゃんはすぐに手伝ってくれて、その手際のよさに私は驚きを隠せなかった。

夕「日香里ちゃん… すごいね！！」

貴「はい…父の後片付けは全部私がやってたんで…」

そっか……また思い出させちゃったね。


ふと長袖をめくった日香里ちゃんの腕をみると、赤黒いアザがいくつもあった。


夕「ねぇ、その腕……」


日香里ちゃんはハッとした顔をして袖の中に腕を隠してしまった。

夕「見せて…？」

貴「………」

夕「大丈夫。なんにもしないよ。」

大きな瞳で私を見つめた日香里ちゃんはそっと腕を出してくれた。

夕「……。」

想像以上のひどさに言葉が出ない。

夕「…とりあえず、こっちおいで？」

何も言わずについてきてくれた日香里ちゃんをリビングのソファに座らせる。

全然気がつかなかった。長袖に隠れていたその腕に。

夕「ちょっと触るね…？」


貴「………っ…」

夕「あっ、ごめんね…」

どうしよう。こんなにアザが…
痛くないわけないよね。

夕「ちょっと冷やそうか。」

私は冷凍庫に入っている保冷剤を持ってきて日香里ちゃんの腕にそっと当てた。

貴「……うっ………」
夕「ごめんね、痛いね。」

見るからに痛そうなのに日香里ちゃんは耐えてくれている。
ほんとに強いよ。

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