【募集企画】天空魔法学院part2【小説ver】

第五十九話【朱鬼】 ページ10

〜セド視点〜

対抗戦での負傷者が、次々に救護室に運ばれてくる

…ちょっと、語弊があるかも

運ばれてくる人もいるし、自分で歩いてくる人もいる

僕の役割は重傷者の時間を遅らせること
順番が回ってくるまでは、怪我が悪化しないようにする
…眠ってる人が多いけど

なんでみんな、争いなんてしたがるんだろう…
争いなんてしても、いい事なんてないのに…


「次の人、お願いします！」


僕が今、時間を遅らせてる人が呼ばれた


「…あ、あの。まだ、怪我した人、いますか…？」

「そうね…。居るにはいるけど全員、緊急を要するような怪我じゃないし大丈夫よ。セドくん、ありがとう。もう帰ってもいいわよ」

「はい、わかりました。…失礼、します」


お辞儀をして、そのまま救護室をあとにした





寮まで戻っているけど、周りには仲良さそうに歩いてる人がいっぱい

…僕、浮いてる、よね
いいな、気が置けない人がいるなんて
僕には…、いないから

どうしようかな
このまま寮に戻るのは、…ちょっと、寂しいな……
どこか、静かな場所で絵でも描いてようかな
あ、でも、ペンとか全部、寮に置いてあるんだった
どっちにしろ、戻らないと

色鉛筆とノートだけで持って、すぐに寮を出た
…どこで描こうかな


「裏庭なら、空いてるかな…？」


行ってみよう、かな

…誰か、知ってる人が居るといいな





「誰も、いない」


僕一人だけ、かな


「…あ、この花、前にはなかった…？」


名前、何だったっけ
この間、図鑑で見て…
…ゼラニウム、だった、…気がする
開花時期には、少し早いような？
誰かが魔法で咲かせたのかな


「黄色のゼラニウム…」


…言葉通りに、なるといいな

綺麗に咲いてるし、描くものは、これにしよう

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