第四十二話【かいs】 ページ39
あらあら、不戦勝ですか。
と、内心苦笑しつつも観客の皆様に目を向ける。
折角私達の対戦を見にいらしてくださったのに、一つの魔法も見せずに終わりだなんて、申し訳もありません。
…では、折角ですから。仕方がありません。
腰元に着けていた箱に手を掛けて、中からティアラを取り出す。
そう、私が最も大切にする装飾品。
氷魔法発動に必須であり、王族であることを示す為に何よりも相応しいティアラ。
頭に着けて、指のパールの指輪に息を吹きかけて手を掲げる。
それと同時に、部屋の中は一面の雪景色。
この景色はいずれ戻る。
観客の皆様の手には、氷でできた花が一輪ずつ届いている。
驚いている人々が多い中で、ゆっくりと静かに部屋を出る。
視線が集まり出したところで、ドレスを軽く持ち上げてお辞儀をする。
「皆様、本日は私どもの対戦をご観覧なさるため、この部屋にお越しくださり、ありがとうございます。」
「対戦をご覧にいれることができなかったこと、まことに申し訳ございません。」
「代わり、と申し上げるには程遠いものではありますが、水系統の魔法を至高とする、我がアキュレトール皇国の氷魔法、特とご堪能くださいませ。」
まだざわめきの残る部屋を少し離れてふと思った。
煙さんに、花籠の差し入れでもしましょうか……と。
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ブラックアイ - 更新しました (2018年10月23日 18時) (レス) id: b64c02d5d7 (このIDを非表示/違反報告)
ブラックアイ - 更新します (2018年10月23日 17時) (レス) id: b64c02d5d7 (このIDを非表示/違反報告)
閑(プロフ) - 更新します!! (2018年10月23日 16時) (レス) id: 2baf58587d (このIDを非表示/違反報告)
よもぎまんじゅう(プロフ) - 更新しました (2018年10月22日 20時) (レス) id: 1b69b5d6d8 (このIDを非表示/違反報告)
よもぎまんじゅう(プロフ) - 更新します (2018年10月22日 19時) (レス) id: 1b69b5d6d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪白 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時:2018年10月14日 21時