第三十八話【ダンテ】 ページ35
「対抗戦、開始」
部屋に入った時点で魔力を溜め、開始の合図と共に高濃度の霧を全方位に放つ。
と同時に視界が暗転した。
会長の闇魔法だろう。
「ま、僕の視界潰したところで無駄なんだけど…って言おうと思ったんだけどナー」
流石は生徒会長、もう既に僕の魔法は攻略済みなのだろう。
霧の揺らぎは一切無かった、要するに微動だにしていないと言うことだ。
だけど僕も馬鹿じゃない。霧が攻略された時の対処法は用意してある。
「ねえねぇ、会長サンは多対一の一方的な捩じ伏せってどう思う?」
あくまで明るい声でそう尋ねながら、両手を地面につきクラウチングスタートの姿勢をとった。
この間も霧は常に放出されており、観客席から中の様子を伺うのも難しいだろう。
だから10分間何もしないという手もある、でもそれじゃあつまらない。
「うーん…まあ褒められる事ではないよねぇ」
真正面から油断しきった悩み声が返ってきた。
と同時に真正面に向かって全速力で駆け出す。
このまま真っ直ぐ走ればいつかは衝突する、他の対抗戦で見たことがあるが、彼女の身体能力は高いとは言えない。
そんな相手は捕まえて仕舞えば僕の勝ちだ。
ふと、すぐ近くに気配を感じ回し蹴りを放つ。
勝ちを確信し、思わず笑みが漏れたのもつかの間
「……わあお、もしかして会長サン、僕の追っかけだったりするの?」
見ている相手もいないのに、猫を被った笑顔を作る。
当たらなかったのだ。
正確に言えば、僕の動きによって揺れた霧に合わせて最小限の動きで避けられた。
こんな時ばかりは自分の魔法が霧というのが悔しい。
霧が大きく"揺らいだ"時、その揺らぎはある程度ならば視認出来てしまうのだ。
「ねえ、さっきの質問ってあなたがそういう状況に立ち会った過去があるからなの?」
背中には手のひらの感触があった。
回し蹴りによって発生した風が、僕付近の霧を薄くし、見つかってしまったのだろう。
「私知りたいの、あなたの
その言葉を境に、背中に魔力が集中するのを感じた。
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ブラックアイ - 更新しました (2018年10月23日 18時) (レス) id: b64c02d5d7 (このIDを非表示/違反報告)
ブラックアイ - 更新します (2018年10月23日 17時) (レス) id: b64c02d5d7 (このIDを非表示/違反報告)
閑(プロフ) - 更新します!! (2018年10月23日 16時) (レス) id: 2baf58587d (このIDを非表示/違反報告)
よもぎまんじゅう(プロフ) - 更新しました (2018年10月22日 20時) (レス) id: 1b69b5d6d8 (このIDを非表示/違反報告)
よもぎまんじゅう(プロフ) - 更新します (2018年10月22日 19時) (レス) id: 1b69b5d6d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪白 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時:2018年10月14日 21時