第十三話【独国語】 ページ12
零夜から貰ったマカロンをしっかりと噛み締めながら味わった後、煙がコチラに駆けてきた。
探しに行く手間が省け良かったと安心した。
煙の移動範囲は広い。
校舎の端から端、敷地内の端から端……言い出したらきりが無いくらい。
トーナメントが発表されるまでまだ時間があるらしい。
椿姉に貰ったブレスレットを強く握り締めた。
後ろからクイッとワンピの裾を引っ張られた。
振り返ると煙が不思議そうな顔で呟いた。
「美愛、口にチョコレート、ついてる」
鏡を急いで取り出し覗き込む。
煙の言う通り、口元にマカロンの中に挟んであったチョコクリームが付いていた。
ハンカチを取り出し、口元を拭く。
念入りに鏡で確認して、完全に取れたことが分かると煙に、
「教えてくれてありがと、危うく対抗戦で恥をかく所だったわ」
「いいよー!」
いつものほわほわとした笑顔を向けてくれた。
この笑顔は、いつも向けられて来た椿姉の様な大人っぽい笑顔でもなく、依姫姉様の様なはかなげな笑顔でも無く、花の咲くような笑顔に私は惹かれた。
末っ子である為、自分が面倒を見るということは案外楽しい。
お礼の代わりに、私の手作りである氷のオブジェを作り、煙に渡した。
「美愛!コレ!」
「お礼。もう一個作ってあげるから対抗戦の時は変に動き回っちゃ駄目だよ?」
「はーい!」
と元気よく手を上げながら、もう向こうの花を見に行こうとしてる煙。
「煙ー!そろそろ行くよー!」
なんだかんだ言って、こんな生活が凄く楽しい。
今日は、占いが一番だから対抗戦は大丈夫。
……うん、多分。
8人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ブラックアイ - 更新しました (2018年10月23日 18時) (レス) id: b64c02d5d7 (このIDを非表示/違反報告)
ブラックアイ - 更新します (2018年10月23日 17時) (レス) id: b64c02d5d7 (このIDを非表示/違反報告)
閑(プロフ) - 更新します!! (2018年10月23日 16時) (レス) id: 2baf58587d (このIDを非表示/違反報告)
よもぎまんじゅう(プロフ) - 更新しました (2018年10月22日 20時) (レス) id: 1b69b5d6d8 (このIDを非表示/違反報告)
よもぎまんじゅう(プロフ) - 更新します (2018年10月22日 19時) (レス) id: 1b69b5d6d8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:雪白 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時:2018年10月14日 21時