▽渇望12 ページ13
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rd「よっし、終わった!」
隣のデスクから聞こえてる声に『おつかれ』と返す。無事タクシーに乗って会社まで舞い戻り、元を探して書類を作り直すこと約四時間弱。時刻は19時過ぎで、もう帰らねばならない時間だった。
オフィスに残るのは私とらだと数人の社員だけ。
終わったぁぁ、と伸びをする社員横目に私も帰る支度をした。
そういえば、と思い出したかの様にらだが書類を封筒に纏め始める。
rd「サボりだったの??」
『違うよ。今日の会議相手の社長と食事に行ってたの』
rd「二人で?なに、俺を置いて出世?」
『生憎だけどプライベートなんだよなぁ』
戻って良かったのか?と聞くらだは携帯をいじりながら私に問うた。お前も早く帰れよ既婚者。
グルッペンさんには悪い事をしてしまったが仕方がない。社員が困っているところを適当に流して、ましてや自分だけ美味しい料理なんて気が引ける。
そこまでクズになれるわけないし。
ひとつ頷いて外套を羽織る。
あーけど、食べたかったなぁ。
携帯画面を開けば一昨日撮った初雪の写真がロック画面に映し出された。この時に戻ってやり直したい。
『じゃーね、らだ。また明日』
rd「じゃ、俺も帰るか」
『あと、そうだ。らださ、なんか美味しい和食屋さん調べといてよ』
rd「なんで」
頼んだ、と吐き捨てて会社を出る。
なんか機会があればグルッペンさん連れて行ってやろうとか思ったり。あの人の連れて行ってくれたところは明らかな高級店だったから、もっと気を抜いて話せる様なところ。飲み屋とかでじゅーぶん。
一夜から始まる恋愛も世の中には腐る程あるのかもしれないが、私的にはもっと段階を踏みたい。
ので、あの人と付き合う事はなさそうだが。だが…だがなぁ。人はすぐ都合の良い方へと変えたがる様で。
少し期待している自分も腹立たしい。
街中にある店の窓に自分の顔が反射して、口角が上がっているのがわかった。
『うっわ…』
きもちわる、と自分で自分を嫌になりながら口元を押さえてゆっくりと帰宅した。
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ビジネス不仲? - 詐欺師の朝ごはんはやばい (2021年8月25日 14時) (レス) id: 7e1bdb3c05 (このIDを非表示/違反報告)
有馬(プロフ) - 待っておりました。お忙しいと存じ上げておりますが、素敵な読み物の続きが出たのが嬉しく、また感想を送ってしまいました。お変わりなくご息災を願います (2021年5月4日 12時) (レス) id: 0957251bb6 (このIDを非表示/違反報告)
有馬(プロフ) - とても素敵な読み物をありがとうございます (2021年5月2日 21時) (レス) id: 0957251bb6 (このIDを非表示/違反報告)
つくもがみ(プロフ) - 好きです。大好きです。無理なさらず、更新頑張ってください。 (2021年2月7日 15時) (レス) id: 5dd14ac0cc (このIDを非表示/違反報告)
雷斗 - すっき!!!! (2021年1月31日 22時) (レス) id: ecb0b24c21 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:零 | 作成日時:2021年1月16日 16時