▽素直な紳士の登場 ページ44
tn「えぇ…なんで一人で降りてくんねん」
緑の影を確認した後くるりと壁に背を向ければ其処にいたのは確かにトントンさんで。そう言えば、帰りは彼の見張りが付くと言っていた様な…
彼もまた私がゾムさんに担がれてくると思ったうちの一人らしく、かなり驚いた様子であったが私のドレスを見るなり察してくれたのか「お疲れ様」と言われた。
tn「ゾムは回収後別場合流やから、こっから早よ離れな…歩けそ？」
『歩けますよ、ありがとうございます』
tn「目的は達成出来たしこのまま帰るで」
『あぁ…はい。あの、目的って』
tn「偵察、と…」
そこで一旦考える素振りを見せたトントンさんは何度か唸って、私の方を見直して口を開いた。
tn「Aのその、綺麗な姿を見るっていう…ただの願望やな。…あ、グルさんのやぞ？」
なんだ、なんだそれは。そんな事の為にと今すぐあの人を殴りたい気分であったがもうそんな気力も残っていなかった。
一つため息を吐いたトントンさんはゾムさんとは違って私を横抱きした後「足ボロボロやろ」と言い訳か何かを吐いて黙って足を進めた。
彼等の優しさにどう甘えていいものなのかと葛藤する自分と、少し縮まった様に思えた彼等との距離に喜んでいる自分も少しだけいた。
あの総統にそんな思惑があったと思うと複雑な気もしたが、何故だか人間らしい一面に安心した気もする。
『本当…、ずるい人達ですねぇ』
皮肉も嫌味も込めて言った言葉だったが声色的にそういう風に受け取って貰えなかったらしい。足を止めずにトントンさんは目線だけちらりと私に向けた。
tn「お互い様やろ」
大人ってのはずるい人間ばかりで、素直な思いであっても伝える術は歪んでいたりするものだ。
それは私もそうで、彼等も然り。当然の様に行われて来た今までのやり取りですら根は単純であった筈だ。
暫く歩いて行けば、来る時に乗った馬車が見えて先ほどま会ったばかりのチーノさんや、総統、その他諸々の面子が先に到着していた。
馬車の近くで私を静かに下ろしたトントンさんは「着いた」と安堵に似たそれを吐き出す。
少しは真っ直ぐ生きてみようか、と軽い約束を自分に交わして私達は彼等と合流した。
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しおりん(プロフ) - ふ〜ん！3ｺﾒ！続編おめでとうございます(о´∀`о)更新大変だと思います､頑張ってくださいね(*´▽｀*) (2020年6月23日 23時) (
レス) id: 527cd6ca75 (このIDを非表示/違反報告)
さわー - ふーん、2ｺﾒ!続編おめでとーございますっ！更新楽しみにしてますっ！(ですが無理はせず！) (2020年5月26日 15時) (レス) id: 14d9286bf4 (このIDを非表示/違反報告)
ピーたー - ふーん、1ｺﾒ！続編おめでとーございます！更新待ってます！ (2020年5月26日 12時) (レス) id: a37e444ba1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：零
| 作成日時：2020年5月24日 14時
