【wrwrd】戦場で敵に惚れられたらしい

▽隠された本心 ページ34

『…そういう事ですか』
ut「まぁ君を欲しがったんはグルちゃんやけど」
『…総統なんて嫌いだ』
ut「そんなん言わんといてや、情報仕入れてきたんはショッピ君やし」
『…』


暗殺部隊でも無い彼に、負けたのか。
邪魔していたプライドが完全に砕け散った瞬間だった。"二人"も侵入を許していた。
しかも片方は信頼を置いていたショッピ、という人間。

先程会った時に改めて自己紹介したのは、
この国の凄さと力を私に知らせる為、あるいは…



ut「単なる煽りやから気にせんくてええよ」
『え』
ut「顔にぜーんぶ出とるよAちゃん」



そう言ったかと思えばさらっと私を部屋に招き入れた大先生。さっきの今でこの事実を知ってしまうと、
うかうかと人を信用出来ない。
しかもこの男…大先生、油断出来る訳ない。
雰囲気が良くわからなかったから、



ut「僕の事信頼してええよ。勿論グルちゃん達も」
『…そんな事できる訳、』


ut「ショッピ君の事は信頼しとったやろ？」




痛いところばかりを突いてくる。


我々国の人間を、信頼していたのだ。ずっと。
あの国にいる時は唯一頼りになる有能な部下として。
何なら彼に資料を押し付けるくらいには……、あ。
またもや、さーっと血の気が引いていくのが分かった。
此方の情報、筒抜けになってるんじゃないのか。


主に重要書類関係は私が取り扱っていたし、
今年の新兵の人数も技量も全て把握されている。



ut「あー…顔真っ青。取り敢えず今日は寝とき。
明日また起こしたるから、な？」



最悪。
何が指揮官だ。馬鹿馬鹿しい。
次ドンパチやったら、確実にあの国は滅ぶ。情報が筒抜けだったし、指揮官と捉えていた筈の総統も失踪しているときた。

私のミスで全員が、死ぬ。
ショッピ君一人で、ここまで大きく流れが変わった。そこから分かる圧倒的な力の差。


ut「僕はベッドで寝るし、気にせんといて」
『…いや、』
ut「ん？あ、何なら添い寝でも__」
『違います』
ut「辛辣」



大先生に言われた通りベッドのある部屋に連れて行かれ、ご丁寧に寝かされた。
ただそう簡単に眠れる筈もなく、大先生が部屋から出て行ってからも私はずっと目を開けていた。


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