▽無能な上官の決断 ページ15
「どうだ?悪く無い話の筈だ。
百年目という記念すべき時に、あの有名な国の総統を断罪した英雄として、後に名を刻める」
有能な君だから言っている、と付け足した上官。
手に持つ短剣が微かに揺れている。
それを気にもせず、
私は口を開く。
『お断りします』
いつかあの総統とやらに言われた"お前が斬れ"との言葉。あの時私は断固拒否した。それは今でも変わらない。
それを今更、やっぱり斬ります、だって?
そんな事言えるか、
_____っていうのが、断った表面的な理由。
本当は、ただこのゴミみたいな目をしたこの上官のいう事が聞きたく無いという単なる我儘…なのだと思う。あと、クズは嫌いだ。
いくら敵であれど、命ある事に代わりは無い。
冷徹だと言われることもあるが、
戦の時だって敬意を持って戦っている。
それをこの上官は…、
「…ならば、上官命令といこう。
貴様に、我々国総統の処刑を任せる」
『お断りします』
「上官命令が聞けない、と」
『いや…』
あの総統が死のうとどうだっていい。
ただ上官の言うことが自分の道理に反するだけだ。
それ以前に、
この上官は常識を知らないのか???
子供の頃教わりませんでしたか。みんなで仲良く、命は大切にしましょうね。って。
そんで、
みんな揃って元気にお返事しなかったのか上官。
ショッピ君から処刑について聞いた時は驚いた。
まさか唐突に決まるとは思っていなかったから。
「フン…情でも沸いたか、あの総統に」
熱の無い冷め切った目が私を見る。
昔見た何かと重なってそれに既視感を覚えた。
部屋の温度は当に0度を下回り、マイナスになっている気さえする。
「…まぁいい。半日、だ」
私がこれ以上口を開かないと見越したのか、
上官は短剣を元あった場所にそっと置きながら私に声を掛けた。
「半日、貴様に考える時間を与えてやる。
…正解は一つだが、」
カシャン、と短剣が置かれる音。
くるりと此方を向いた上官は無表情で、ただ冷たい目だけが何よりもはっきり見える。
"「期待しているよ」"
そう言った上官に、
社交辞令として一礼する。
半日、
_____何か行動を起こすなら半日だ。
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零(プロフ) - kouboukunさん» ありがとうございます!そう言って頂けると嬉しいです!多分は基本的に危なそうだな…という勝手な想像に共感してくれている様で何よりです…()これからも更新頑張ります! (2020年5月24日 18時) (レス) id: c17c74b3a4 (このIDを非表示/違反報告)
kouboukun(プロフ) - なんかこれを見て思いました・・・。総統の多分は危ない多分ですね(*´▽`*)面白かったです!すごく夢中になって読める小説だし、奥が深くて、好きです!(突然の告白。)これからも更新頑張ってください!! (2020年5月20日 16時) (レス) id: 6b5d77f9d6 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - seruharu217さん» syp君についてはまだ出て一話目ですので、情報量が少なかった様ですみません…次の話辺りからもう少し詳しくするつもりですので、その際分かるかと…!(質問に添えていなかったら申し訳無い)ありがとうございます!そう言って頂けると嬉しいです!頑張ります! (2020年5月15日 23時) (レス) id: c17c74b3a4 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - もっちさん» ありがとうございます!今や社会はその話題で持ちきりですしね…無事元の暮らしが出来る事を祈るばかりです。今後も面白い作品に出来る様、更新頑張っていきます! (2020年5月15日 23時) (レス) id: c17c74b3a4 (このIDを非表示/違反報告)
seruharu217(プロフ) - あの、すみません。ショッピ君ってどんな立場ですか?二人いる感じなんですかね・・・?このお話は好きです!更新頑張ってください! (2020年5月13日 17時) (レス) id: e769def405 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:零 | 作成日時:2020年3月15日 14時