【wrwrd】戦場で敵に惚れられたらしい

▽動き出す赤色 ページ11

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21時。


この軍の規律はそう厳しい訳でもなく、
24時には就寝しましょうね、というゆっるいお約束がある。
最初こそ22時就寝だとか言っていたけど…
それは私が許さない。夜こそ楽しいんじゃないか。

一定のリズムで扉をノックされ、『どうぞ』と返せばガチャリと静かに扉が開いた。



tn「失礼します」
『そう堅くならなくてもいい』



とはいえ、新兵と指揮官の立場。
多少の緊張感は持って欲しいけれど。

ここ1ヶ月程度で分かった彼の事といえば、単純に優秀な兵士であるということくらいだ。
戦闘をやらせてみても、
頭を使う方をやらせてみても、
難なくこなせる有能さ。


かといって、他の兵士よりずば抜けている訳でもない。



『今お茶を出すよ』

tn「お構いなく、用が済んだらすぐに"此処から出ていきます"ので」

『馬鹿言え、それじゃ格好がつかない』



彼の静止の声も聞かずに勝手に紅茶を淹れる。
あ、飲めるのかな彼。
まぁいいや。嫌いなら飲んでくれなくてもいい。



ティーカップに慣れた手つきで紅茶を淹れれば、部屋にふわりと甘い香りが広がった。お菓子が欲しい。
流石にこの時間に食べたら、確実に体重が増えるのでやめておく。
落とすの大変なんだよ。

テーブルにティーカップを置いて、彼にソファに座る様言った。自分もその向かいに腰を下ろして
目の前に座る彼を見た。




素直そうな話し方に整った顔立ち。
ショッピ君とは真逆ですねぇ…いや、ショッピ君も顔は良いのだが性格があれでして、




『それで？用ってのは何かな、豚六君』




部屋に入って来た時から持っていた数枚の紙。
それは、一昨日あたりに出した課題だった。
きっとそのことについてだ。

うんうん、割と難しいから苦戦してくれたのかな？
嬉しいなぁ。頑張ったんすよ自分、あれ作るの。









tn「夜戦は、お好きですか」









バサリとテーブルの上に投げられた課題。


そのどれもに丁寧な字が書かれている。
いちばん上の内容が視界に入ったが、どれも満点の回答であった。なんだ、苦戦してないじゃないか。




『___夜戦かい？』







真っ黒で重いそれの照星(フロントサイト)を私に向けた、赤色の目をした素直で有能な兵士。


___そうだった、君は頭が良かったね。









にこりと笑って返せば、
赤色は微かに笑った。

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