【文スト】幹部の右腕は。【中原中也】_Another story

#後輩の気持ち ページ26

ー樋口sideー



樋「あ、Aさん尾崎幹部が呼んでいましたよ」


成る可く無愛想に。成る可く嫌われる様に。

全ては中原幹部から始まった事。Aさんをこのマフィアから追い出す為に任務として云われた。最初は何を云っているんだと理解出来なかったが、彼女の笑顔を見ているうちに何だか中原幹部の気持ちが分かった気がした。



『そっか。ありがとう』
樋「…………早く行ったら如何です？」
『そうだね』



『じゃぁね』と笑って去っていくAさんの顔は矢張り苦痛そのものだった。

分かっている、彼女が苦しんでいる事くらい。だけど此処でやめたら……




芥「樋口」
樋「芥川先輩、すみません。」
芥「いや、礼を云う樋口」




芥川先輩が！私に！礼を！


多分Aさんの事だ。あのまま呼んでいなければ中原幹部の策略と努力が無駄になってしまう。笑わなくなったAさんを笑わせたいと云うのは誰もが同じ気持ちで。



芥「行くぞ樋口」


樋「はいっ！芥川先輩！」



気になって振り向くがもうそこに彼女の姿は無くて。どんな顔をしていただろうか。


ごめんなさいAさん。




全てAさんを救う為なんです。


笑った貴女をもう一度先輩と呼びたい、そんな気持ちを切り替えて私は芥川先輩の後ろについていった。


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