【d!】私、もう長くはないんです

▽意味22 ページ22

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zm「なぁ、薬ってまずい？」


そう、唐突に聞かれた。

戦争までは二週間を切った。私の寿命もそのくらいだ。案外時間は淡々と進んで、穏やかな日々が流れている。とはいえ今は訓練中だし、皆物騒なものを持ってはいるけれど、不安になるくらい平和な時間が流れていた。

今日はゾム様が侍女の対応らしい。
他所の人間に人見知りするくせに、見知った女に対してはやけに積極的だった。


「ゾム様…？！！」


それを聞いて顔を真っ赤にして怒ったのは同僚だった。
ゾム様は「デリカシーなかったわすまん」と言いながらも、未だ私の返答を待っている。


『くられ先生の調合した薬はチェリーの味ですよ。まずくはありません。ただ、カプセル？とやらに入っているので違和感はありますけれど』

zm「ほーん。そりゃ良かったな、美味しくて」

『えぇ』

zm「……ごめん嘘、ふざけた」


彼は存外優しい人間だ。

味方最大の脅威だとか狂気だとかはいうが、普段はただの優しい男に成り下がる。訓練中も目立って前に出たりはしないし、かと言って片隅でじっとしている訳でもない。
嫌われないギリギリのラインを攻めてくるような人間だった。


zm「関わった仲間が死んでくの、慣れんわ。お前、戦で生きとっても死んでまうんやろ。嫌やなぁ、病はいちばん嫌や」


素直にそう吐き出したゾム様は座って遠くを見ていた。くるくるとナイフを弄び、どこか遠くを眺めるだけ。


『そうでしょうか。
戦とは違って、薬があればあっさり楽に死ねますので、案外良かったりするかもしれませんよ』

zm「俺らは死場所決められるけど、病は無理やろ。どこで突然死ぬかもわからん」

『…あぁ、確かに』

zm「やろ？戦はみんな死ぬけど、病は孤独の戦いなんやで。俺やったら絶対無理」


まぁ戦も嫌やけど、と彼は小さく呟いた。

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