ネバーエンド ページ33
ギュッーー
先生が私を抱きしめてる…
フワッと、煙草混じりの先生の匂いがする。
「あ、あの…。」
「ん？」
「どういう状況ですか、これ。」
「抱きしめてんの。」
「えっと…それは何故。」
「なに、ダメなの？」
「え…」
なんて、テンポよく会話が続く。
ハァ。ってため息が頭の上から聞こえた。
フッと顔を上げると、
っ…。
先生が私を見つめてる。
「好きだって言ってんの。」
「っ……！」
「ハハッ、なに固まってんの。」
「だって、だって先生が今好きって！」
「あー、もう煩い。黙って。」
っ…！
そう言って、先生は私の唇を塞いだ。
唇は一瞬で離れる。
びっくりして目を開けると、
そこには今まで見たことないくらい
優しい表情で私を見つめる先生がいた。
…夢みたい
涙が溢れ出てきた。
「ふふっ、本当に泣き虫だな。」
ふっと私の目に手を伸ばして涙をぬぐう
先生の大きな手が私の頬に触れた。
「先生…好きです。」
「うん、知ってる。」
「大好きです。」
私はぎゅぅってしがみつく。
「アハハッ、わかったよわかった。」
よしよしって私の頭を撫でる。
「山田、卒業おめでとう。」
「っ…はい。」
こうして私は卒業した。
私はあの夏初めて恋をした。
ただひたすらに、先生に恋焦がれた夏。
貴方と出会った日のことを
たくさんの出来事を忘れない。
きっと、これからもずっと
私たちは2人で思い出を増やして行くんだ。
ありがとう、櫻井先生。
これが、私の10年前の忘れられない出来事。
*END*
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作者名：cherrys | 作成日時：2021年1月10日 23時
