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鈍感女 ページ27
「っ…。」
廊下を走る。
走って、走って下駄箱まで戻る。
「うっ…うぅ…」
我慢の糸が切れたように涙が溢れだす。
ねぇ、どうして？
私の腕を掴んだ先生は、
泣きそうな目をしてた。
どうして、どうしてあんな目をしてたの？
考えても私には分からない。
先生に掴まれた感覚がまだ残ってる。
「何、また泣いてんの？」
二宮君が戻ってきた。
「…っ、泣いてないよ。」
「ふーん。
なるほど、鼻水垂らしてんのか。」
汚ー。そう言いながら私の前を歩いて行く。
「なぁ、A。」
「…なに？」
「お前はほんとに馬鹿だよな。」
二宮君が突然そう言った。
…馬鹿馬鹿ってもう聞き飽きたよ。
「うるさいな。
いつも私のこと馬鹿って言うのやめてよ。」
「はぁ…違うんだよなぁ。」
何が違うのよ。
そう思ってると、
「お前は何にも気づいてない。
見てたら普通わかるだろ。」
…見てたらわかる？
何が？言ってることが分からない。
「この鈍感女。
もうちょい悩んでろ馬鹿。」
鈍感女…？
意味がわからない。
結局私は二宮君の言葉の意味が理解できないまま、
その後も櫻井先生と距離を置き続けた。
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作者名：cherrys | 作成日時：2021年1月10日 23時
