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何となく、来たばかりの2人を眺める
2人は準備をしながら、壁に貼られている進行表に目を向けていた
渡辺「またAいないじゃん!」
残念そうに放たれたその言葉は、程よい賑やかさを保っていた楽屋にも響くほどの大きさで、当たり前のように俺の耳にも届く
…やっぱ、みんな気になるのはそこらしい。
Aのことを気にしてるのは別に俺だけじゃないし、好きなのも会いたいのも、俺だけじゃない。
他の人達に勝ってるとこなんて今はないのに、嫉妬だけは一丁前にしてる自分に無性にイラついた
脱力して目の前の机に突っ伏すと、下に敷いてたタオルの感触が頰に伝わる
ゴワゴワした、気持ちいいとか思えない感触
Aが洗濯した時は絶対してた、いい匂いもしないし。
渡辺「今日はあれだけど、本番の日スタッフ足りてない的なこと言ってたけど、A来ねーかな」
阿部「誰が言ってたの?」
渡辺「さっき、音響のスタッフさんが言ってた」
阿部「えー、そうなんだ。まぁこのご時世だし人足りないよね」
自然と耳が拾ってしまうそんな会話を聞きながら、自分の中でまた無駄な期待がむくむくと膨らむ
本番は、Aが来るかも…?
会えるかな、また。
そんな期待はこれまで何回も崩されてきたのに、懲りずにまた期待してしまう自分がいる
向井「めめ」
ふわふわと頭を優しく触る手に気付いて、体勢はそのままで視線だけを向ける
必然的に上目遣いになったまま、俺の頭を触り続ける康二をじっと見ると、康二はちょっと笑った
向井「髪伸びたなぁ」
そんなこと言いたくて、ここに来たわけじゃないくせに、そんなことを言いながら頭を触り続ける康二
優しい気遣いと、手のひらのあったかさに目を閉じる
『…ソーシャルディスタンス』
向井「そんな寂しいこと言わんでやぁ」
その声はやっぱり優しくて、ここ最近で荒んだ心に染みるような気がした。
ラウ「何でAちゃんって演出してくれなくなったのかなー」
深澤「なんで、ってそりゃ…」
ふっかさんが言葉を濁すのを聞いて、閉じていた目を薄く開ける
…俺のせい、だろ。
それしかねぇのに、なに聞いてんだこいつ。
ちょっとイラっとしていると、康二が慌てたように俺の視界を手で覆ってきた
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wakachi - 更新お疲れ様です!初めてコメントさせてもらいます!やんさんのお話が大好きで、この作品も1から何度も読み返しては更新されるのが楽しみで楽しみで仕方ないですヽ(´▽`)/ 新たな展開でハラハラ感ときゅんが止まらないです〜!!次回更新を楽しみにしてます! (2020年9月15日 23時) (レス) id: 973838b416 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ(プロフ) - 楽しみにしてます!! (2020年9月14日 23時) (レス) id: 110a75f7c9 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ(プロフ) - 本当に良かったです(≧▽≦)想いあってるのにすれちがってしまう不器用な2人がものすごくもどかしかったです(T_T)前作では苦手だった阿部ちゃんですが、楽屋での彼はめめにさりげなく気づかせてあげてるように感じ、少し変わったのかなぁと嬉しく思いました!!続きも (2020年9月14日 23時) (レス) id: 110a75f7c9 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ(プロフ) - 4の移行のお知らせから飛んで来たら5が完全に出来上がっててびっくりしました笑通知が仕事してなかったのか!?と一瞬疑いましたが一気に更新してくださったんですね!!ありがとうございます!!何か進展があるのでは、と期待しながら読ませていただきましたが、 (2020年9月14日 23時) (レス) id: 110a75f7c9 (このIDを非表示/違反報告)
たんぽぽ - キュンキュンと涙が止まりません。幸せになって欲しいです。楽しみにしてます! (2020年9月14日 22時) (レス) id: c85239aa9f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:やん | 作成日時:2020年9月14日 16時