小さな幸せ 5

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藤「ちょっといい？」




見張りの人の場所に近づくと
私の手をとる藤ヶ谷さん



私「え？」




なにこれ、どうしたこれ、



手が！手が繋がれてるっ！！！



やばい、藤ヶ谷さんと手がー！




藤「痛い、笑」



私「あ、すみません」




チカラ入りすぎた……




藤「普通にしててもらえる？
いつも手繋いで歩いてんのよ、
うちの奥さんすぐ転ぶから、笑」




なるほど……そうか、奥さんのフリだ




私「はい、肝に銘じます」



藤「ふははっ、面白いね、Aちゃん。
少しだけ我慢しててね」




我慢だなんて、バチが当たる



どれほどの人があなたと手繋ぎたいと
思ってるのかわかってます？





「あ、藤ヶ谷くん、おつかれさまです」



藤「おつかれさまです」




見張りの人に声かけられ、
私は、バレないかとヒヤヒヤ




「あ、奥さんもいらしてたんですね」




ま、まずい……話しかけられてる？




藤「今日、何時まで見張りですか？」




私に話しかけないように
話題を変えた藤ヶ谷さん




「事務所には日付けかわるまでって
言われてますが、人がいなくなったら帰ります」



藤「そうですか、がんばってください。
じゃ、失礼しまーす」



「奥さんも気をつけて！」




ペコりと頭だけさげて、
藤ヶ谷さんに手をひかれてその場を去る




藤「どうぞ？」




藤ヶ谷さんの車らしき高級車の
助手席のドアを開けて、乗れって
促されてる




私「いいんですか？」



藤「あたりまえでしょ、笑」



私「でも、助手席……」



藤「いいから乗って」



私「……はい」




運転してる姿って、
なんでみんなカッコよく見えるんだろう




藤「なに？笑」




チラチラ見てたら、気づかれてしまった




私「かっこいいなと思って、笑」



藤「そ？でも、北山の方が好みでしょ？」



私「そりゃあもう！宇宙一です！
……あ！……すみません」



藤「ふははっ、可愛いね、素直で」




か、可愛いって言った！




藤「暑い？クーラーつけよっか？」




いや、暑いのは、藤ヶ谷さんのせいだから




私「大丈夫です」

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