君の嘘、僕の嘘

23 〜Tside〜 ページ23

Aちゃんが、部屋から
出て行く。




何度目？


ってくらい逃げられてばっかり




てかさ、自分からキスしても、
されても逃げるって、なんなの？




……可愛いじゃん




あれ……いや、だめだって、ただの
おかえしだし


やられっぱなしが勘にさわっただけ




……それだけだよ




だいたい、セロリもうちに
置いてったままだし




でも、また取りに来させればいい




それで、また、キスするんだ


いや、されるかな





……え、待って、俺、おかしい





藤「たまー、Aちゃんに
何したんだよ(笑)」



玉「や、……別に」



藤「真っ赤だったよ？
あんま、からかっちゃダメよ？」



玉「……うん、わかってる」



藤「好きなの？」




好き？



そんなわけない……たぶん





でも、いなくなってほしくないんだ



みんな、好きになったら離れてくのに



Aちゃんには、いなくなってほしくない





玉「俺、おかしいんだ」



藤「え、……おかしい？」



玉「Aちゃんといると、
樹を思い出す。顔とか、性格とか
全然ちがうのに、
樹を想ってた時の感情を思い出す」




ガヤは、俺と樹の事、
よく知ってる




藤「いいんじゃない？」



玉「……よくない」



藤「……」



玉「よくないんだよ」



藤「たま、Aちゃんは
樹さんじゃない。樹さんみたいに
たまを裏切ったりしないよ。」





もちろん、重ねてみてるわけじゃない



ただ、



樹しか頭の中にいなかった時の



感情に似てるんだ



ずっと、そばにいるのが
あたりまえと思う、あの感情に



失った時の絶望感は
二度と味わいたくないんだ





玉「俺さ、彼女できた」



藤「は？」



玉「ドラマ一緒にやってる子」



藤「好きなの？」




首を振る




藤「まだ、そんな事やってんのかよ」




呆れたようにため息をつくガヤ




玉「大丈夫、ドラマ終わったら
離れてくから。
どうせ、嘘なんだよ、俺の事
好きなんて」




必ず言うんだ、


俺は、好きにならないよ？って


それでも、大抵の子は


それでもいいって、つきあってくれるなら


好きにならせてみせるって



自信満々に言ってくるんだ




だったら、試してみてよって



そんなのの繰り返し

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