君の嘘、僕の嘘 (ページ16)

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16 ～Tside～ページ16

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「裕太、ごめんなさい」

樹は、そう言って、俺の前から
簡単にいなくなった

うまくいってると思ってた

仕事もたくさんもらえるように
なって

「裕太すごいね」

「裕太、応援してる」

彼女の愛情をうけて、
もっともっとがんばろうって。

「樹、好きだよ」

忙しくさせてもらってる中、
たくさんの愛情を注いできた

彼女の愛情が、他の誰かに
向けられてるなんて

まったく気づかなかった

「結婚する事になったの。
裕太が好きだったけど、好きな
だけじゃだめなの。
裕太、ごめんなさい」

目の前が、真っ暗になった

闇につきおとされたみたいに

好きなだけじゃだめって何？

わからなくなった

俺の感情は、意味のなかった事だったんだと

近寄って来る子なんて、
山ほどいる

でも、どこかで

どうせいなくなるでしょって

どんなに好きになったって
簡単に離れていくんでしょって

思ってる自分がいて

「裕太は、私の事好きじゃない」

付き合っても、これの繰り返し

自分から近づいてきたくせに、
そうやって俺から離れてく

そんなもんなんだよ、恋愛なんて

だから、俺は嘘をつく

「裕太、好き」

「俺もだよ」 ……嘘だけど。

それが、嘘じゃなくなる日なんて、

永遠にこない気がする

マ「新しい子がくるはずなんだけど……」

俺のメイクをしながら、
マチ姉が呟くから

携帯ゲームをしてる手を止めて
顔をあげる

玉「新しい子？」

マ「うん、気に入ってる子がいてね、
口説きおとしたの」

玉「へぇ、迷子にでもなってんじゃない？」

マ「あぁ、ありえるかも。
そんな感じするわ」

クスクス笑い出した、マチ姉を見て、
どんな子かなって少しだけ興味をもった

……こんな子か、笑

メイクが終わって、廊下を歩いてると
不安そうな顔して、さ迷ってる子、発見。

「迷子？」

いつもなら、通りすぎるとこだけど、
思わず声をかけた。

あまりにも、うちの実家のワンコに
似てたから