小さな幸せ 4

154 〜Ki side〜 ページ33

タクシーの中



〜♪♪♪ 〜♪♪

俺の携帯が鳴る




北「はいはーい、なに？」




〃……あっ、北山さん〃




マネージャーかと思ってたら
女の子の声




北「あれ？誰？」




やべ、名前確認しないで
出ちゃったじゃん




〃さらです〃




北「あぁ、こんばんは。
なにか用事？」




失敗したー、



出なきゃよかったと思ったけど、
出ちゃったものは、仕方ない




〃この前は、お会いできて嬉しかったです。
……あの、またお会いできませんか？〃




ほんと、この子、ガッツあるよね



逆に尊敬するわ




北「んー、知ってると思うけどさ、
Aが悲しむ事は、したくないのよ」




はっきり言ってやろ



また、肉叩かれっから(笑)




〃……別れたんだと思ってました〃



北「別れるとか、ないから。
だから、電話とかも勘弁して？」




これだけ言ったら、
わかるよね



迷惑だって




〃一度だけ。一度だけ、一緒に
お食事行ってもらえませんか？
そしたら、諦めます。〃




なかなかしつこい



でも、諦めてくれんなら、
その方がいい気がする




北「ん、じゃ、一度だけ」



〃はい〃



北「今から少しだけでもいい？
都合悪い？」



〃大丈夫です〃




ちょうど、早めに終わったしと
思って提案してみた



いちいち、別の日に都合つけんの
面倒臭いし




北「今どこ？」



〃会社出たとこです〃




その辺の店、あそこのBARしか
わかんないから、そこで待ち合わせして、
向かう




店に着いて、さらちゃんを
探すと、カウンターに座ってる




北「お待たせ」



さ「北山さん！」




隣りに腰をおろすと、
わかりやすく頬赤らめてる



俺も男だからさ、
嬉しいよ、人に好かれんのは



でもさ、やっぱり



違うんだよね




話してても、Aと比べてんの



Aだったら、こう言うんだろうなとか




さ「そんなに面白かったですか？
今の話し」



北「え？」



さ「ニヤニヤしてたから」




やべ、Aの事考えてて



全然聞いてなかった




さ「今日、北山さんに会えて
本当に嬉しかった。
実は私、今日、誕生日なんです」



北「マジで？ ごめん、大事な日に。
こんなとこ、いて大丈夫？」



さ「こんな日だから、いいんです」

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