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「あ、あの！断って来ました…！！」
体育館裏を離れた男子生徒は、経営科の空き教室に飛び込む。そこにいたのは、桃色の髪を遊ばせる絶世の美女。長いまつげで縁取られた瞳が、すっと細められる。妖艶な唇が弧を描いた。
「偉いですねえ」
「それで、あの、ぼ、僕と、本当に付き合ってくれるんですよね…！？」
出入り口付近にいた男子生徒は、教室の中央に佇むその美女に向けて二、三歩駆け寄った。息が荒い。それを見て、玉藻の前は眉を顰めた、あぁ、汚い、と。こんな男に、あの子は似合わない。
「無理に決まってるでしょ？」
高い声が空間に響く。空いていたはずのドアがぴしゃりと閉められた。誰によって？____教室に入ってきた、紫色の髪の少女によって。その尻尾が、不機嫌そうに床に叩きつけられた。男は、ここでやっと、只ならぬ気配を感じ取る。
「貴方がマスターに懸想している____その感情を否定することはわたくしにはできません。けれど、その下賎な腹の中をどこかに捨ててから出直してきてくれますか？」
「え…え？なに、言って」
「バカな人間。こんなキツネに騙されて、コロッと心変わりするなんて。そんな男に、私たちのマスターをあげるわけないじゃない」
男は目の前の美しい狐を見つめる。その瞳は確かに昨日、自分を見つめていた。その唇は確かに、自分が好きだと言ったはずだ。付き合って欲しい、と。あの子をやめて、自分にしないか、と。自分はその甘言に愚かにも食いついた。だから、
「ねえ、聞いてるの？」
先ほどの少女の声が、耳元で聞こえた。男は声にならない悲鳴をあげて、近くにあった机に倒れこむ。大きな音が鳴った。そして彼は気付く、放課後にそぐわないほどの静けさに。
「やるなら早くやりましょ。そろそろ気付くわよ、この人間」
「全くせっかちですねえ。まあ、わたくしたちも早くマスターの元に戻りたいですし？」
「そうよ、今日は子ジカとアイス食べに行く日なんだから。だからね____大人しくしててくれる？」
男の口からは引きつった声しか出てこない。玉藻の前が、彼に顔を近づけた。
「命までは取りません。ただ、ちょっと、貴方の記憶をいじらせてもらうだけですから」
「ひ、やだ、いやだ、」
その拒否の声も、すぐに無くなった。空き教室には本当の静寂が漂う。そこにいた2人の女の影も、すぐに無くなった。
彼女たちは、確かに世界を救ったのだ。たった1人のマスターと共に。けれども、
彼女たちは、決して善人ではない。
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闇音(プロフ) - 初めまして。こちらのシリーズのお話、いつも楽しく読ませていただいています。ジーク君と1日デートするというリクエストは可能でしょうか？本編ならびに番外編も更新を楽しみにしています。 (2020年3月28日 1時) (
レス) id: f425466021 (このIDを非表示/違反報告)
牛乳(プロフ) - いつもぜんざいさんの小説を楽しく読ませて頂いてます(>_<)すみませんリクエストなのですが、キングプロテアちゃんと夢主ちゃんとA組のお話が見たいです…！更新楽しみにしてます！ (2019年4月25日 20時) (レス) id: 2e7f27e19e (このIDを非表示/違反報告)
リリカ(プロフ) - こんにちは！いつも楽しみにしてます！ リクエストで岡田以蔵と夢主とA組の話をお願いします！ (2019年1月4日 9時) (レス) id: 317858aab0 (このIDを非表示/違反報告)
ジャンヌオルタサンタリリィ - 初めまして！インド兄弟楽しみです！それからリクエストよろしいでしょうか？私はロビンとビリーが取り合うのがいいです！ (2018年10月11日 17時) (レス) id: 9d73ceb014 (このIDを非表示/違反報告)
夜ト(プロフ) - インド兄弟の続き楽しみにしています！更新頑張ってください！ (2018年10月6日 16時) (レス) id: fa8e26fbdb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぜんざい | 作成日時：2018年5月27日 11時
