【ヒロアカ×FGO】ヒーローになりたいマスターの零れ話【番外編】

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「やったあ、勝ったわ！見ていてくださった？マスター」
「見てたよ…相変わらず強いね、アビー…」
「マスター、フォーリナーと」

ぴょんぴょんとジャンプしながら喜ぶアビゲイルは文句無しに可愛い。その近くで高校生男子がショックのあまり机にうつ伏せていても。
机にクレーターが開いておまけにヒビまで入っているし、アビゲイルの筋力Aが炸裂したのは明らかだ。それでも桃色の頰をさらにほっこり色付けさせて駆け寄ってくる幼女に、心動かない人間なんているはずがない！
でれでれした顔(自覚はある)でアビゲイルを褒めていれば、横にいた天草に小言を言われた。

保護者めいたそれに、ハイハイ分かりましたよ、とおざなりに返す。その様子を見ていたらしいナーサリーが、嬉しそうな顔で言った。

「そうしていると、ふたりはカップルのようね！素敵！素敵だわ」

えっ、と声を漏らす間も無く、サンタリリィやジャックがやいのやいのと声を上げた。

「えっ、お師匠様とトナカイさんが！？そ、そんなの、ダメですよっ！？あっいや、良いんですけどっ！私はサンタですし！？」
「おかあさんと、おとうさん？」

これにはいつも余裕綽々な天草もたじたじだ。その様子を見ているだけで面白いから別に良いけれど。

ふと時計を見ると、昼休みはあと15分ほどで終わるようだった。たしか5、6時間目はヒーロー基礎学。オールマイトによる実践演習だ。それなら、と、4人組に声をかける。

「4人とも、次の授業でわたしと一緒に戦ってくれる？」

ぽかんとしていた4人の顔が、喜色を湛えたものになる。やったあ！と、ジャックが言うと、勢いをそのままに4人がまた飛びついてくる。今度は、隣にいた天草が肩を支えてくれたので転びはしなかった。

「行きましょう、トナカイさん！」
「おかあさん、わたし、がんばって解体するからね！」

右手はジャック、左手はサンタリリィ。アビゲイルとナーサリーは後ろに回って背中をぐいぐい押してくる。早く行こう、と急かされながら、慌てて天草に声をかけた。

「ルーラー！あなたは、」
「帰りますよ。ここでは、私は少し有名人すぎますからね」

そう言って天草は、ひらひらと手を振った。確かに、この国で、天草四郎時貞を知らない人はごく僅かだろう。
そして、わたしは4人に連れられ、友達と共に教室を出た。

＿＿誰もいなくなった教室で、天草がぽつり呟いていたことを知らずに。

「この施設を把握しなくては」

いざという時、主を守れるように。

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