125話▽間に合ってます ページ29
「おや、奇遇ですね」
2月の
ここはとある常夏島。
今日はお菓子の取り立て仕事をしていたのだが──……
『実は自分に会いに来てません？
港に船は見えませんでしたが』
「ホホホ、気色悪いことを言わないでいただきたい。
少しこの辺を散歩していただけです」
例の"鬼保安官"と2度目の遭遇をした。
汗が滲むほどの日差しの中、全く変わる気配のない白い顔色が不気味に感じる。
「新聞に載るのがお好きなようだ。
少女を庇う姿には胸打たれましたよ」
『……ツッコミ待ちで？』
「おっと、不快にさせたなら申し訳ない」
感情を交えず滔々と話す様は少し自分に似ている。
両者共に笑顔を剥がさない。
『にしても1人でここに？
敵地に誰も護衛について来ないとは、
「煽りますね。
先日の父親に対する態度とは大違いです」
『……本当に自分のストーカーじゃないですかぁ』
「情報網が広いのですよ」
どっから見てたんじゃコイツ！
自分と父さんが会ってた時、クラルスにいたんかい！
前は"雰囲気がミステリアス"とか思ったが、本当に何処までも読めない男だ。
そもそも船も無しに単独で島に来るなんて、空でも飛んできたのか？
「どうです、ウチに入る気はありませんか？」
『は』
相手を怪しんでいたら、突然の勧誘。
堪らず変な声が出た。
「あなた自身も感じているのでは？
そちらよりウチのスタイルの方が合うと」
『……そっちのスタイル、とは』
「まァ……一言で言えば、"私情を挟まない"でしょうか」
一瞬表情を崩しそうになるも、目の前の男に張り合うように何とか耐える。
私情を挟まない。
確かに自分はそれを望んでいる。
……いや、望んで
『折角のお誘いですが……丁重にお断りさせてもらいますわ』
「……」
『結構ここ好きなんですよ？自分』
それに絶対、離れたくない理由もある。
わざわざ言うつもりはないが。
「私の見当違いでしたかね」
『"麦わら"あたりを勧誘してみては？
最近死亡説とか出てますけど』
"却下ですね"と最後まで笑顔の男は、もう用なしと言う様にこちらに背を向けた。
「次会う時は、ブチ殺してさしあげましょうか」
『そんじゃ今から入れる保険でも探しときます』
保安官は立ち去る。
自分もそれを気に留めず……彼の後ろ姿を見送りもせず、額の汗を拭って天を仰いだ。
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なめこ(プロフ) - 万さん» 万様、温かいコメントをありがとうございます！駄洒落は割と丁寧に作ってたのでそう言って頂けると嬉しいです。引き続きマイペースで頑張っていきます！ (2022年9月30日 19時) (
レス) id: 1b44704fa6 (このIDを非表示/違反報告)
万(プロフ) - 初めまして、設定も珍しく内容もとっても面白かったので一気に読んでしまいました！！主人公の駄洒落もついつい楽しみにしている自分がいました！今後も応援しています。 (2022年9月30日 0時) (レス) @page50 id: b14a1161fa (このIDを非表示/違反報告)
なめこ(プロフ) - 橋本アリィちゃんさん» 橋本アリィちゃん様、感想ありがとうございます！また返信遅くなり申し訳ございません。今後もマイペースに作品更新していくので、よろしくお願いします！最後までのご清覧、本当にありがとうございました！ (2022年9月10日 13時) (レス) @page19 id: 1b44704fa6 (このIDを非表示/違反報告)
橋本アリィちゃん(プロフ) - 初コメ失礼します！とても良いお話でした！今後も頑張って下さい！(*´ω｀*) (2022年1月5日 11時) (レス) @page50 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
なめこ(プロフ) - 烏羽Pさん» 鳥羽P様、ありがとうございます！この作品で少しでも楽しんで頂けたなら幸いです。今後も自分のペースで作品投稿を続けていくつもりなので、どうぞよろしくお願い致します。改めまして、最後まで読んでくださり本当にありがとうございました！ (2020年12月29日 13時) (レス) id: 64cb88d55b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なめこ | 作成日時：2020年10月30日 18時
